試し出勤とは、心身の不調により休職している職員が正式な職場復帰の前に、短時間・短期間から実際の職場へ通うことで復帰の可否や程度を確認する、職場復帰支援の取組をいう。
メンタル不調で長く休んだ職員を、いきなり通常勤務に戻して再発させないためにどうするか。その橋渡しが試し出勤である。リハビリ出勤や慣らし出勤とも呼ばれ、休職中または復職直前の職員が、本来の勤務時間より短い時間や週数日からの出勤を試み、通勤に耐えられるか、職場の環境に適応できるかを段階的に確認する。これは正式な復職判定の前段階に位置づけられ、主治医や産業医の意見、本人の希望を踏まえて所属・人事担当が計画を立てる。期間中の身分の扱い(休職のままか、復職させて軽減勤務とするか)、勤務とみなすか否か、賃金や公務災害の適用、安全配慮義務の及ぶ範囲は団体ごとの制度設計によって異なり、明確なルールを欠くと労務上のトラブルや再発の原因になりやすい。厚生労働省の職場復帰支援の手引きが示す五つのステップの一環として位置づけられ、主治医による復職可能の診断、産業医等による面談、最終的な復職決定へとつなぐ役割を担う。
職場復帰支援の段階の中での位置づけ
試し出勤は、休職した職員を安全に職場へ戻すための職場復帰支援の一連の流れの中に位置づけられる取組である。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、第一に病気休業の開始と療養、第二に主治医による職場復帰可能の判断、第三に職場復帰の可否の判断と支援プランの作成、第四に最終的な職場復帰の決定、第五に職場復帰後のフォローアップという五つのステップを示す。試し出勤はおおむね第三・第四ステップの周辺で、正式な復帰決定の前に実際の職場環境への適応を確認する手段として用いられる。短時間勤務から段階的に時間を延ばす方法や、まず通勤だけを試す方法など形態はさまざまあるが、いずれも主治医・産業医の医学的意見と本人の状態を踏まえて無理のない計画を立てることが前提になる。
制度設計上の留意点(身分・賃金・災害補償)
試し出勤を実施する際に実務上もっとも問題になるのは、その期間の法的な位置づけである。休職のまま行うのか、いったん復職させて軽減勤務とするのかで、賃金の支給の有無、勤務時間としての扱い、公務災害(通勤災害を含む)の適用の可否が変わる。休職のまま実施する場合は労務の提供を命じる根拠が乏しいため、あくまで任意の協力に基づくこと、職務命令ではないことを明確にし、賃金や災害補償の扱いをあらかじめ定めておく必要がある。一方で、職員が職場にいる以上、使用者には安全配慮義務が及ぶため、過度な負荷をかけて再発させないよう、業務内容・時間・周囲の支援体制を計画的に管理しなければならない。これらの取扱いを規程や要綱で明文化していない団体では、復帰可否の判断や万一の事故の際の責任の所在が不明確になりやすく、制度として整備しておくことが望ましい。
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