他法他施策とは、生活保護に優先して活用すべき、生活保護法以外の法律に基づく給付や各種の社会保障・福祉施策の総称をいう。
生活保護の申請を受けた福祉事務所が、保護を決定する前に必ず確認するのが「使える他法他施策が残っていないか」である。生活保護は他の手段を尽くしてなお最低限度の生活を維持できない場合に初めて適用される最後のセーフティネットであり、これを補足性の原理という。他法他施策とは、年金・各種手当・雇用保険・傷病手当金・障害福祉サービス・公的医療保険といった生活保護以外の制度全般を指し、これらの給付は生活保護に優先して受けなければならない。窓口では、申請世帯が受けられる年金や手当の請求を済ませているか、利用できる福祉サービスがあるかを聞き取り、未請求のものがあれば請求を促したうえで、それでもなお最低生活費に満たない不足分を保護費で補う。保護開始後も、新たに他法の給付が始まれば収入認定や保護の変更につながるため、他法他施策の活用状況の把握はケースワークのなかで継続する。この優先関係を整理できないと、本来他制度で賄えるはずの費用を生活保護で負担する誤りや、逆に活用できる制度を見落とす不利益が生じる。
補足性の原理における他法他施策の位置づけ
生活保護法第4条は、保護は資産・能力その他あらゆるものを活用することを要件とし、民法上の扶養や他の法律に定める扶助は生活保護に優先して行われると定める。この他法優先の考え方の下で、年金、児童扶養手当、特別障害者手当などの各種手当、雇用保険、健康保険の傷病手当金、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス、介護保険などが、生活保護に先立って活用すべき他法他施策にあたる。福祉事務所は申請時に、世帯が受給しうる他法他施策を洗い出し、未請求のものは請求を求めたうえで、なお最低生活費に不足する額を保護費で補う。この優先確認を尽くすことが保護開始の前提となるため、他法他施策の把握漏れは過支給や不適正な受給の原因となる。
保護費との関係と収入認定
他法他施策による給付は、原則として収入として認定され、その分だけ支給される保護費が減る関係にある。たとえば年金や手当の受給が始まれば、その額が収入認定され、最低生活費との差額が保護費として支給される。このため、保護開始後に他法の給付が新たに決定したり増額したりした場合には、収入申告に基づいて保護の変更決定を行う必要がある。他方、医療や介護のように現物で給付される制度では、公的医療保険や介護保険が適用される部分は医療扶助・介護扶助の対象から外れ、自己負担相当分のみが扶助の対象となる。福祉事務所は、金銭給付の収入認定と現物給付の適用範囲の双方を整理し、他法他施策と生活保護の役割分担を正確に処理しなければならない。
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