訴訟事務とは、自治体が当事者となる訴訟や行政上の争訟に対応する一連の事務である。提訴・応訴の方針決定、議会の議決、指定代理人の選任、訴訟の追行などを含む。
訴訟事務は、自治体が原告または被告として裁判に関わる場面で生じる事務の総称である。住民訴訟、損害賠償請求、契約をめぐる争い、行政処分の取消訴訟など対象は多岐にわたる。自治体が訴えを提起し、または和解・調停に応じるには、原則として地方自治法第96条第1項により議会の議決が必要となる(応訴や軽微な事案には例外がある)。実際の訴訟追行は、職員を指定代理人として選任し、または弁護士に委任して行う。法務担当課や顧問弁護士と連携し、原課が保有する事実関係や証拠を整理して主張・立証を組み立てることになる。とりわけ住民訴訟は、財務会計上の行為の適否が問われ、首長や職員個人の賠償責任に及ぶこともあるため、自治体法務の中でも重みのある分野である。専門の法務人材が乏しい自治体では、都道府県の支援や弁護士への委任が実務を支える。
訴訟事務の流れと議会の議決
自治体が当事者となる訴訟は、提訴・応訴の方針決定から始まる。地方自治法第96条第1項は、自治体が訴えを提起し、和解し、あっせん・調停・仲裁に応じることを議会の議決事項としている(専決処分や条例による委任、応訴など一定の例外がある)。方針が固まると、訴訟を遂行する者として当該自治体の職員を指定代理人に選任するか、弁護士に訴訟を委任する。指定代理人は、自治体を代理して準備書面の作成や法廷での主張を行う。原課・法務担当・代理人が連携し、事実関係と証拠を整理して訴訟を追行する。
住民訴訟と自治体法務
訴訟事務の中でも住民訴訟は固有の重みを持つ。住民訴訟は、住民監査請求を経たうえで、自治体の違法・不当な財務会計上の行為(公金の支出、契約、財産の管理など)を正すために住民が提起する訴訟である。被告は自治体の執行機関であり、認容されれば、首長や職員に対する損害賠償・不当利得返還の請求を自治体が行うよう義務付けられることがある。このため、財務会計行為の適法性を平時から確保し、争いになった際に説明できるよう記録を整えておくことが、自治体法務の重要な課題となる。
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