ジチテン

収用裁決

読み:しゅうようさいけつ

意味

収用裁決とは、土地収用法に基づき、起業者の申請を受けた収用委員会が、収用する土地の範囲や損失の補償などを定めて土地等の権利を強制的に取得させる行政処分をいう。

用地交渉が任意では妥結しないとき、公共事業を進めるために土地の権利を強制的に移す最終手段が収用裁決である。事業認定で事業の公益性が認められた後、起業者が都道府県の収用委員会裁決申請し、収用委員会が審理を経て裁決を下す。裁決は、収用する土地の区域や権利取得の時期・対価を定める権利取得裁決と、土地の引渡し・物件の移転の期限を定める明渡裁決の二段に分かれ、それぞれ別個に申請・裁決できる。権利取得裁決で起業者は補償金の支払いと引き換えに土地の所有権を取得し、明渡裁決で現実の明渡しが実現する。補償額や収用の範囲に不服がある者は、損失の補償に関しては裁判所への訴え、その他の事項は審査請求取消訴訟で争える。任意買収が原則であり、収用裁決はあくまで合意に至らない場合の補完的手続として位置づけられる。

権利取得裁決と明渡裁決の二段構造

収用裁決は2014年の土地収用法改正以降、権利取得裁決と明渡裁決の2種類に分かれている。権利取得裁決は、収用する土地の区域、土地に対する補償金の額、権利取得の時期(権利を取得し従前の権利が消滅する日)を定める。明渡裁決は、土地の引渡しや建物等物件の移転の期限、移転に要する補償金などを定める。起業者は両者を同時にも別々にも申請でき、まず権利取得裁決を得て所有権を確保し、その後に明渡裁決で現実の占有を移すという分離が可能になる。これにより用地取得の進め方に柔軟性が生まれ、事業工程に合わせた段階取得ができる。

収用委員会と裁決の効果・不服申立て

収用裁決を行うのは都道府県に置かれる収用委員会であり、起業者でも知事でもない独立した合議制の準司法機関である。起業者が裁決を申請すると、委員会は土地所有者・関係人の意見を聴く審理を行い裁決する。権利取得裁決の時期までに起業者が補償金を払い渡せば、起業者は土地の所有権を原始取得し、従前の権利は消滅する。逆に補償金の払渡しを怠れば裁決は失効する。裁決のうち損失の補償の額に不服がある場合は、裁決書の送達から一定期間内に裁判所へ補償金の増減を求める訴え(形式的当事者訴訟)を提起でき、補償以外の事項は審査請求や取消訴訟で争う。補償に関する争いを当事者間の訴訟に切り出している点が収用裁決の不服申立ての特徴である。

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