ジチテン

主観訴訟

読み:しゅかんそしょう

意味

主観訴訟とは、原告自身の権利利益の保護・救済を目的として提起される訴訟をいい、抗告訴訟と当事者訴訟がこれに属する。

行政を相手取る訴訟は、自分の権利が侵されたから争うものと、行政の適法性そのものを正すために争うものに大きく分かれる。主観訴訟は前者、すなわち原告が自己の権利利益の救済を求めて提起する訴訟であり、裁判所が扱う法律上の争訟の本体をなす。行政事件訴訟のうち、処分の公権力性を争う抗告訴訟と、公法上の法律関係を争う当事者訴訟がこれに当たる。これに対し、自己の権利利益と関わりなく行政の適法性確保を目的とする民衆訴訟機関訴訟客観訴訟と呼ばれ、法律に特別の定めがある場合にのみ提起できる。原告適格を自己の法律上の利益に求めるか、法律の特別の授権に求めるかが両者を分ける核心であり、ある訴えがどちらに属するかは、出訴できる者の範囲を画する出発点となる。

客観訴訟との区別と原告適格

主観訴訟と客観訴訟の区別は、訴訟の目的が原告自身の権利利益の救済にあるか、それとも行政の客観的な適法性の確保にあるかという点にある。主観訴訟は前者で、原告は自己の法律上の利益が侵害されまたは侵害されるおそれがあることを根拠に出訴する。それゆえ原告適格は法律上保護された利益を持つ者に限られ、誰でも訴えを起こせるわけではない。これに対し客観訴訟は、原告自身の利益とは切り離して行政の適法性そのものを正すことを目的とし、法律上の争訟の例外として、法律に特別の定めがある場合に限り、定められた者だけが提起できる。住民監査請求を前置する住民訴訟や、選挙の効力を争う選挙訴訟が客観訴訟の代表例であり、主観訴訟との違いは原告適格の根拠を個人の権利に置くか法律の授権に置くかに集約される。

行政事件訴訟法上の位置づけ

行政事件訴訟法は訴訟を抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の四類型に分けるが、このうち抗告訴訟と当事者訴訟が主観訴訟、民衆訴訟と機関訴訟が客観訴訟に整理される。抗告訴訟は行政庁公権力の行使を対象とする訴訟であり、取消訴訟をはじめとする類型を含む。当事者訴訟は公権力の行使に当たらない公法上の法律関係を対等な当事者間で争う訴訟である。両者はいずれも原告の権利利益の救済を目的とする点で共通し、処分の公権力性の有無によって振り分けられる。主観訴訟という概念は、これら個別の訴訟類型を貫く目的の共通性を示すとともに、法律の特別の定めを要する客観訴訟との境界を画する機能を持つ。

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