ジチテン

集団免疫

読み:しゅうだんめんえき

意味

集団免疫とは、集団内で免疫を持つ者の割合が一定以上に高まることで、免疫を持たない者にも感染が広がりにくくなる状態をいう。

なぜ自治体予防接種を個人の任意でなく公的事業として進めるのか。その公衆衛生上の根拠が集団免疫である。ある感染症に対して、ワクチン接種や感染によって免疫を獲得した人が集団の中で十分な割合を占めると、感染者から未感染者へ病原体が伝わる連鎖が途切れ、免疫を持たない人(乳児・妊婦・基礎疾患者など接種できない人を含む)も間接的に守られる。この免疫を持つ者の必要割合(集団免疫閾値)は感染力の強い麻しんで約95%と高く、感染力の弱い感染症ほど低い。市区町村予防接種法に基づき定期接種を実施し高い接種率の維持を図るのは、個人の発症予防にとどまらず、社会全体でこの集団免疫を形成して流行を防ぐ目的があるためである。

集団免疫閾値と接種率目標

集団免疫が成立して流行が抑え込まれるために必要な、免疫保持者の割合の下限を集団免疫閾値という。閾値は感染症の感染力を表す基本再生産数(R0、1人の感染者が平均何人に感染させるか)から導かれ、おおむね「1−1÷R0」で求められる。R0が大きく感染力の強い麻しん(はしか)では閾値が約95%に達し、これが定期接種で高い接種率を維持しなければならない根拠となる。風しんや百日せきなども比較的高い閾値を持つ。接種率が閾値を下回ると、免疫を持たない集団の中で感染連鎖が再開し、局地的な流行(アウトブレイク)が起こりうる。

公的接種事業としての位置づけ

予防接種が個人の判断に委ねられた純粋な私的医療ではなく、市区町村の事業として予防接種法に基づき実施されるのは、集団免疫という社会全体の利益(外部効果)があるためである。一人ひとりの接種は本人の発症・重症化を防ぐと同時に、周囲の未接種者への伝播を断つことで集団免疫の形成に寄与する。健康上の理由でワクチンを接種できない人や、免疫がつきにくい人を守るには、接種可能な多数が接種して集団免疫を維持する必要があり、これが定期接種の勧奨と公費負担を正当化する。接種率の低下は集団免疫の崩壊を招き社会全体のリスクを高めるため、自治体は接種率の把握と勧奨に取り組む場面が生じる。

つながりのある用語

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