処理困難通知とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、一般廃棄物処理業者がその事業の用に供する施設の廃止・休止や事故等により受託した一般廃棄物の適正な処理が困難となったとき、または困難となるおそれがあるときに、遅滞なくその旨を市町村長に通知しなければならない制度である。
委託していた一般廃棄物処理業者が突然「もう処理を続けられない」と言い出したとき、市町村はどの時点でそれを知り、住民の排出するごみの行き先をどう確保するのか。処理困難通知は、この空白を生まないために設けられた事前察知の仕組みである。廃棄物処理法第6条の3は、一般廃棄物処理業者に対し、受託した一般廃棄物の処理が困難となったとき、または困難となるおそれが生じたときは、遅滞なくその旨を業務を行う区域の市町村長へ通知する義務を課す。市町村の一般廃棄物処理責任は委託後も消えないため、通知を受けた市町村長は自ら処理するか別の業者へ振り替えるなどして処理体制の継続を図る。施設の廃止・休止、設備の故障、災害による損壊、許可の取消しなどが想定される事由であり、通知の遅れは生活環境保全上の支障へ直結する。産業廃棄物の側で排出事業者が処理困難となった処理業者から受ける「処理困難通知」(法第14条の3の2等に基づく管理票の保存・措置)とは制度の名宛人と趣旨が異なる点に注意を要する。
一般廃棄物処理責任との関係
市町村は区域内の一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに処理する統括的責任を負い(廃棄物処理法第6条の2)、処理業者へ委託しても責任そのものは移転しない。処理困難通知は、この責任を実効あらしめるための早期警報として機能する。業者が処理を継続できなくなれば、住民から排出されるごみは滞留し、収集の停止や不適正な保管へつながる。市町村長は通知を受けた段階で、直営処理への切替え、他の許可業者への振替え、近隣市町村との広域的な調整など、空白期間を生まないための代替手段を講じる。通知が遅れるほど打てる手が狭まるため、法は「遅滞なく」という即時性を求めている。
産業廃棄物における処理困難通知との区別
名称は同じでも、産業廃棄物の処理困難通知は名宛人と方向が逆である。産業廃棄物処理業者は、受託した産業廃棄物の適正な処理が困難となったときは、委託元である排出事業者へその旨を通知しなければならない(廃棄物処理法第14条第13項等)。通知を受けた排出事業者は、処理の状況を把握し、生活環境保全上の支障を防ぐ措置を講じたうえで都道府県知事へ報告する義務を負う。これは排出事業者責任を最後まで貫徹させ、委託先の破綻が不適正処理や不法投棄へ転化することを防ぐ趣旨である。一般廃棄物が市町村長を名宛人とするのに対し、産業廃棄物は排出事業者を名宛人とする点で、責任主体の違いがそのまま通知先の違いに現れている。
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