ジチテン

食料安全保障

読み:しょくりょうあんぜんほしょう

意味

食料安全保障とは、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、すべての国民がそれを入手できる状態を確保することをいい、2024年改正の食料・農業・農村基本法で基本理念の筆頭に据えられた概念である(食料・農業・農村基本法)。

輸入に頼る肥料・飼料・燃料の価格が高騰し、世界の食料需給が不安定になったとき、国内で食料を安定して供給し続けられるか。この問いに制度として答えるのが食料安全保障である。従来の基本法が食料自給率の向上を中心に据えていたのに対し、2024年の改正では平時からの食料安全保障の確保が基本理念の前面に出た。

食料安全保障は、量の確保だけでなく、国民一人ひとりが必要な食料を合理的な価格で入手できる「アクセス」の確保まで含む広い概念である。生産基盤である農地・担い手の確保、肥料や種子など生産資材の安定調達、輸入相手国の多角化、不測時に備えた備蓄など、平時の取り組みと不測時の対応の両面で組み立てられる。

自治体にとっては、農業振興施策や地産地消、農地の保全といった日々の取り組みが、国レベルの食料安全保障を足元から支える基盤となる。改正法では国・地方・事業者・消費者それぞれの役割が整理され、食料の安定供給を社会全体で支える枠組みが示された。なお食料供給が不足する不測の事態に備える法律として、別途の対応制度の整備も進んでいる。

2024年改正と理念の前面化

食料・農業・農村基本法は1999年の制定以来、食料自給率の向上を施策の中心に置いてきたが、2024年の改正で「食料安全保障の確保」が基本理念の筆頭に据えられた。背景には、世界的な人口増加と気候変動による食料需給の不安定化、ロシアのウクライナ侵攻に伴う穀物・肥料・燃料価格の高騰、円安による輸入コストの上昇など、輸入に依存する日本の食料供給の脆さが顕在化したことがある。改正法は食料安全保障を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義し、平時からの確保を求める点が従来との大きな違いである。

確保の手段と自治体の役割

食料安全保障の確保は、量の確保とアクセスの確保の両面で組み立てられる。量の面では、国内の農業生産の増大を基本としつつ、輸入の安定化(相手国の多角化)と備蓄を適切に組み合わせる。生産基盤として農地・農業の担い手・農業用水などの確保、肥料や種子といった生産資材の安定調達も含まれる。アクセスの面では、買い物環境の維持や価格の安定が課題となる。自治体にとっては、農業振興地域の保全、担い手への農地集積、地産地消の推進、農業振興計画の策定といった日常の施策が、国全体の食料安全保障を足元から支える基盤となる。改正法は国・地方公共団体・農業者・食品事業者・消費者それぞれの責務を整理し、食料の安定供給を社会全体で支える枠組みを示した。

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