職階制とは、職務を種類・複雑さ・困難度・責任の度合いに応じて分類整理し、その分類に基づいて職員を任用・処遇する人事制度である。かつて地方公務員法が原則として採用を義務づけていたが、実際にはほとんど施行されないまま、平成26年の同法改正で廃止され人事評価制度に置き換えられた。
「人」ではなく「職」を基準に人事を組み立てるとはどういうことか——職階制はこの問いから生まれた。戦後の公務員制度改革では、情実や身分でなく職務の中身に応じて格付けと給与を決める科学的人事行政が理想とされ、その中核装置として職階制が地方公務員法第23条以下に書き込まれた。職務を「職級」「職種」に分け、同じ職級の職には同じ取扱いを及ぼすという発想である。しかし職務分析・職務評価の事務負担が重く、年功的な人事慣行とも噛み合わず、国でも地方でもほぼ実施されないまま空文化した。平成26年改正で職階制の規定は丸ごと削除され、能力・実績に基づく人事管理の物差しは人事評価へ移った。現在の給料表の級別職務分類や昇格・昇任の運用には、職務を基準に格付けるという職階制由来の思想が形を変えて残っている。
なぜ義務づけられながら実施されなかったか
職階制は、昭和25年制定の地方公務員法が任用の原則として採用を予定した制度で、職務を職種(仕事の種類)と職級(複雑さ・困難度・責任の度合い)で分類し、同一の職級に属する職には同一の資格要件と給与を適用する仕組みであった。理念上は、誰がその職に就いても職の格付けが動かないため、情実人事を排し客観的な処遇を実現できるとされた。しかし制度の前提となる職務分析と職務評価は膨大な事務量を要し、人事担当部門の体制では維持しきれなかった。加えて、人に着目して昇進・昇給を積み重ねる従来の年功的慣行と正面から衝突したため、国でも地方でも本格運用に至らず、規定だけが残る空文として長く放置された。
廃止と人事評価制度への移行
平成26年の地方公務員法改正により、職階制に関する規定は削除され、代わって人事評価制度の導入が義務づけられた(地方公務員法第23条の2)。職階制が「職」を分類する静的な制度だったのに対し、人事評価は職員一人ひとりの能力と業績を継続的に評価し、その結果を任用・給与・分限の基礎として活用する動的な仕組みである。評価の物差しとなるのが標準職務遂行能力であり、職制上の段階の標準的な職ごとに求められる能力をあらかじめ定める点に、職務を基準に処遇するという職階制の発想が継承されている。給料表の級別職務分類も、職務の複雑さ・責任に応じて級を区分する点で同じ系譜にある。
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