紹介議員とは、住民等が地方議会に提出する請願について、その内容を紹介してとりつぐ議員をいう。
住民が議会に請願を出すには、自分一人の意思だけでは足りず、議員の手を借りなければならない。その役割を担うのが紹介議員である。地方自治法は請願の提出に議員の紹介を必要と定めており、請願書には一人以上の紹介議員の署名または記名押印を求めるのが通例である。紹介議員は単に名前を貸すのではなく、その請願に賛意を示して議会へとりつぐ立場であり、付託された委員会では紹介議員が趣旨を説明し、必要に応じて参考人招致や現地視察を経て採否が決まる。この紹介議員を要件とする点が、議員の紹介を要しない陳情との実務上の最大の違いである。紹介議員を見つけられない住民や団体にとっては、請願ではなく陳情が現実的な選択肢となるため、住民の声を議会へ届ける入口として紹介議員の存在は重い意味を持つ。
紹介議員が請願と陳情を分ける
地方議会への住民の要望には、請願と陳情という二つの経路がある。両者を制度上分ける最大の指標が紹介議員の要否である。地方自治法第百二十四条は、議会に請願しようとする者は議員の紹介により請願書を提出しなければならないと定め、紹介議員の署名・押印を欠く請願書は受理されない。これに対し陳情は法律上の根拠を持たず議員の紹介を要しないため、議会は陳情を会議規則上「請願に準じて処理する」と定めつつ、本会議に上程せず参考配付にとどめるなど、請願より軽い扱いにすることがある。つまり紹介議員を得られるか否かが、議会で正式に審査され採択・不採択の議決を受けられるか、それとも参考扱いで終わるかを左右する。住民にとっては、賛同してくれる議員を一人でも確保できるかが、要望を議決の俎上に載せる第一関門となる。
紹介議員の責任と委員会での役割
紹介議員は請願者の代弁者ではないが、その請願に賛同して議会へとりつぐ以上、内容について一定の責任を負う立場と解されている。請願が委員会に付託されると、紹介議員は委員会に出席して請願の趣旨を説明し、委員からの質疑に応じることが会議規則で定められている例が多い。委員会はこの説明に加え、必要があれば請願者本人を参考人として招いたり、現地を視察したりして採否を判断する。一人の議員が紹介議員となるか否かは会派の方針とも関わり、同一会派の議員が連名で紹介するか、あるいは特定の議員のみが紹介するかで、その請願に対する議会内の支持の広がりがある程度うかがえる。紹介議員が後に紹介を取り下げ、紹介議員が不在となった請願の扱いが問題となる場面もあり、各議会は会議規則で取下げ時の処理を定めている。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)