ジチテン

指定代理人

読み:していだいりにん

意味

指定代理人とは、国や地方公共団体が当事者となる訴訟において、行政庁の長等から指定を受け、弁護士でない職員でありながら訴訟代理人として法廷活動を行う者である。法律が認める範囲で、職員自身が出廷して陳述や証拠提出を行える点に特徴がある。

行政が被告となる訴訟を、毎回すべて弁護士に委任していては費用も負担も重く、争点を最もよく知る担当職員の知見も活かしにくい。指定代理人の制度は、訴訟代理は弁護士に限るという原則の例外として、法律の認める場合に職員が代理人となって訴訟を遂行することを認めるものである。国の訴訟では法務大臣の権限等に関する法律に基づき法務局職員や各省庁の職員が指定代理人となり、訟務検事と連携して国側の主張立証を担う。

自治体には国の指定代理人制度に正面から対応する制度がなく、地方自治法に基づき職員に訴訟事務を担わせたうえで、法律により認められた範囲で職員を指定代理人として出廷させるか、弁護士に委任するかを事案ごとに選ぶことになる。争点が事実関係に深く根ざす行政訴訟では、処分の経緯を熟知する原課職員が指定代理人として直接陳述できることが、訴訟遂行の質を左右する。

弁護士強制の例外という位置づけ

民事訴訟では当事者本人のほかは原則として弁護士でなければ訴訟代理人になれないが、国や地方公共団体が当事者となる訴訟ではこの原則に例外が設けられている。国については法務大臣の権限等に関する法律が、法務大臣の指定する法務局・地方法務局の職員や各行政庁の職員に訴訟代理を認め、これらが指定代理人として国を代理する。指定代理人は弁護士資格を要しないが、指定の範囲内で陳述・証拠提出・和解など本人と同様の訴訟行為を行える。資格を持たない者に例外的に代理を認めるのは、行政には日常的に多数の訴訟が生じ、処分の内容や経緯を熟知する職員の関与が事案解明に資するという特殊性があるためである。

自治体における運用と限界

地方公共団体には国の指定代理人制度をそのまま適用する規定がなく、運用は事案ごとの選択になる。地方自治法に基づき職員に訴訟事務を分掌させ、法令で認められた範囲では職員自身を指定代理人として出廷させる一方、専門性や負担を考慮して弁護士に委任する形も広く併用される。職員を指定代理人とする利点は、処分に至る事実経過や内部資料を熟知する原課の担当者が法廷で直接説明できる点にあり、とりわけ裁量判断の合理性が争われる訴訟では有効である。他方、訴訟技術や立証戦略の専門性は弁護士に劣るため、複雑な法律論を含む事件では弁護士委任や弁護士との共同受任が選ばれる。どの方式をとるかは事件の性質と庁内の体制を踏まえた判断となる。

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