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下請中小企業振興法

読み:したうけちゅうしょうきぎょうしんこうほう

別名:下請振興法
意味

下請中小企業振興法(下請振興法)とは、下請中小企業の経営基盤の強化と、親事業者・下請事業者間の取引の適正化・近代化を促すための施策を定めた法律である(昭和45年法律第145号)。国が望ましい取引のあり方を示す振興基準を定め、関係者がこれに沿うよう指導・助言する仕組みを置く。

親事業者の都合に取引が左右されやすい下請中小企業は、単価の引下げや短納期の押しつけにさらされ、自力での経営改善が難しい。違法行為そのものを取り締まる下請代金支払遅延等防止法(下請法)に対し、下請振興法は「望ましい取引・自立した経営」へ底上げする政策の側から下請中小企業を支える。

中心となるのが、経済産業大臣が定める振興基準である。これは下請事業者の生産性向上や、親事業者の発注方法・対価決定・納期などのあるべき姿を示す指針で、法的な強制力ではなく、これに沿った取引・経営を促す目安として機能する。基準に照らして必要があれば、国は親事業者・下請事業者に指導・助言を行う。あわせて、下請事業者が連携して取り組む振興事業計画の認定や、取引のトラブルを無料で相談できる窓口(下請かけこみ寺)の整備など、取引適正化と経営強化を組み合わせた支援が用意される。価格転嫁の遅れが問題になるなかで、振興基準は近年たびたび改正され、適正な価格交渉を促す内容が強化されている。

下請法との役割分担——取締りと振興の両輪

下請をめぐる二つの法律は混同されやすいが、役割がはっきり分かれている。下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、買いたたきや代金の支払遅延といった親事業者の禁止行為を類型で定め、公正取引委員会中小企業庁が違反を取り締まる「取締り」の法である。これに対し下請中小企業振興法は、罰則による取締りではなく、振興基準の提示・指導助言・計画認定・相談窓口といった手段で、取引の適正化と下請事業者の自立を後押しする「振興」の法である。下請法が「やってはいけないこと」を線引きするのに対し、下請振興法は「あるべき取引・経営」へ引き上げる方向で働き、両者が補い合って下請取引の環境を整える。実務では、明白な違反は下請法、価格交渉のあり方や経営改善は下請振興法の振興基準という整理になる。

振興基準と価格転嫁の後押し

下請振興法の運用で近年とくに重みを増しているのが振興基準である。これは経済産業大臣が定める望ましい取引・経営の指針で、親事業者の対価決定の方法、原材料費・労務費・エネルギーコスト上昇分の価格への反映、型管理や知的財産の取扱い、支払条件などのあるべき姿を具体的に示す。法的強制力はないものの、取引適正化を進める政策の拠り所として位置づけられ、原材料費や人件費の高騰局面で価格転嫁が滞る問題を受けて、適正な価格協議を促す内容へ改正が重ねられてきた。国は親事業者に対し、振興基準に沿った自主行動計画の策定や下請取引の見直しを促し、必要に応じて指導・助言を行う。中小企業の経営現場では、価格交渉の根拠としてこの基準を持ち出せることが実務上の意味を持つ。

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