申請主義とは、行政上の給付や許認可などについて、本人からの申請があって初めて行政が手続を開始し処分を行うという建前をいい、行政が職権で手続を始める職権主義に対する概念である。
ある制度の対象になりうる住民がいても、本人が窓口に申し出なければ支援が始まらない場面は珍しくない。これは行政給付の大半が申請主義を前提とするためである。申請主義は、給付や許認可の手続を本人の申請を起点に開始する仕組みで、行政が対象者を職権で把握して自動的に手続を進める職権主義と対をなす。生活保護や各種の手当、減免制度の大半は申請主義をとり、要件を満たしていても申請がなければ支給は始まらない。申請主義には、本人の意思を尊重し過剰な介入を避ける利点がある一方で、制度を知らない住民や申請をためらう住民が支援から取りこぼされる「申請主義の穴」という弱点がある。被災者支援や福祉の分野では、この穴を埋めるためにプッシュ型の情報提供や、台帳をもとに支援員が個別に働きかけるアウトリーチが重視されるようになっている。担当課にとっては、申請主義を前提としつつ、申請の負担を下げる書かない窓口やワンストップ化、そして申請に至らない層への能動的な支援をどう組み合わせるかが、制度の実効性を左右する。
申請主義と職権主義
行政上の給付や許認可をどのように開始するかには、申請主義と職権主義という二つの建前がある。申請主義は、本人からの申請を手続開始の要件とする仕組みで、生活保護・各種手当・税の減免・許認可の多くがこれを採る。本人の意思に基づいて手続が始まるため、行政の過剰な介入を防ぎ、本人の選択を尊重する点に特色がある。これに対し職権主義は、行政が自ら対象者を把握して職権で手続を進める仕組みで、税の賦課や一部の保護の開始などにみられる。申請主義のもとでは、要件を満たしていても申請がなければ給付は受けられず、申請の有無と時期が支給開始や遡及の範囲を左右する。担当課は、自らの所管する制度が申請主義か職権主義かを正確に押さえ、申請主義の制度では申請の受付・補正・標準処理期間といった手続を適正に運用する必要がある。
「申請主義の穴」とアウトリーチ
申請主義は本人の申し出を起点とするため、制度の存在を知らない、手続が複雑で申請をあきらめる、あるいは申請に伴う心理的な抵抗があるといった理由で、本来支援を受けられる人が手続に至らない問題が生じる。これが「申請主義の穴」であり、高齢者・障害者・被災者など情報や手続に困難を抱える層ほど取りこぼされやすい。この穴を埋めるため、近年は行政の側から対象者に働きかける取組みが広がっている。被災者支援では、被災者台帳をもとに支援員が世帯を訪問して制度を案内するアウトリーチが行われ、福祉分野でも関係機関の情報を突き合わせて支援が必要な世帯を早期に把握する仕組みが整えられつつある。申請手続そのものの負担を下げる書かない窓口やオンライン申請、複数手続を一度に済ませるワンストップ化も、申請主義の弱点を補う方策である。担当課にとっては、申請主義の建前を維持しながら、申請に至らない層をいかに支援につなげるかが制度運用の重要な課題となる。
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