資格証明書とは、国民健康保険料(税)を特別の事情なく原則1年以上滞納した世帯に対し、被保険者証を返還させたうえで交付する証で、国保の被保険者資格は証明するが医療機関での支払を償還払いに切り替えるものをいう。
国民健康保険の収納対策で、長期滞納世帯に対する最終段階の措置として位置づけられるのが資格証明書(被保険者資格証明書)である。納期限から原則1年を超えて特別の事情なく滞納が続く世帯は、保険者である市町村に被保険者証を返還し、代わりに資格証明書の交付を受ける。資格証明書はその人が国保の被保険者であることを示すにとどまり、これを提示して受診しても医療機関の窓口ではいったん医療費の全額(10割)を支払わなければならない。後日、保険者へ特別療養費の支給を申請して保険給付分(通常7割等)の払戻しを受ける償還払いの仕組みであり、滞納分はこの払戻しと相殺されることもある。窓口での一時的な高額負担が受診抑制を招くおそれがあるため、交付は機械的に行わず滞納の事情を聴取したうえで判断し、高校生世代までの子どもには資格証明書ではなく通常の被保険者証を交付する取扱いがとられる。
償還払い(特別療養費)の仕組み
資格証明書を交付された被保険者は、医療機関を受診した際に窓口でいったん医療費の全額を支払う。その後、保険者である市町村へ申請すると、本来の保険給付に相当する額(通常は医療費の7割等、自己負担割合に応じた分)が特別療養費として支給される。これが資格証明書に伴う償還払いの仕組みであり、通常の被保険者証による現物給付(窓口では自己負担分のみ支払う)と決定的に異なる点である。なお支給される特別療養費は、滞納している保険料に充当(相殺)される運用がとられることがあり、その場合は実質的に手元へ戻る額が減る。窓口での全額立替えは家計に重い負担となるため、資格証明書は滞納整理上の効果と医療アクセスへの影響の双方を見て交付の要否が判断される。
交付の要件と子ども・特別の事情への配慮
資格証明書の交付は、納期限から原則1年を経過してもなお保険料を滞納し、かつ災害・病気・事業の休廃止等の特別の事情がない世帯を対象とする。特別の事情があると認められる場合や、滞納者が公費負担医療の対象者等である場合は交付対象から除かれる。また、滞納世帯であっても高校生世代までの子ども(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの被保険者)には、資格証明書ではなく有効期間を区別しない通常の被保険者証を交付しなければならないとされ、子どもの受診機会を確保する配慮が法律上設けられている。担当者は、滞納額の回収という目的と、全額立替えによる受診抑制という副作用を比較しながら、短期被保険者証で対応を続けるか資格証明書へ進むかを世帯ごとに見極める。
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