せり売りとは、地方自治法第234条第1項が定める契約の方法の一つで、買受人を口頭等で順次競争させ、最高の価格を申し出た者を相手方とする売払いの方式である。一般競争入札、指名競争入札、随意契約と並ぶ契約方式であり、施行令第167条の3により動産の売払いで適当と認められる場合に限り用いることができる。
自治体が契約方式を選ぶとき、買い手を募って最も高く買う者に売り渡す場面は、入札書の提出を待つ通常の競争入札になじまないことがある。せり売りは、不用となった備品や保管期間を過ぎた物品など、その場で多数の買受希望者を競らせて最高価格を引き出すのに向いた売払い専用の方式である。地方自治法第234条第1項は契約方式を一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りの4つに限定列挙し、原則は一般競争入札としたうえで、せり売りは施行令第167条の3が認める動産の売払いという狭い場合にのみ例外的に許す。買受人が価格を競り上げていく点は競り下げ方式(リバースオークション)と逆の動きであり、後者が役務・物品の調達コストを下げる手法であるのに対し、せり売りは売却収入を最大化する手法である。実務では公有財産の処分や差押物件の換価など限られた局面で用いられ、件数は他の方式に比べて少ない。
なぜ売払いに限られるのか
せり売りは、地方自治法第234条第1項が掲げる4つの契約方式のうち最も適用範囲が狭い。施行令第167条の3は「動産の売払いで当該契約の性質がせり売りに適するもの」に限ってこの方式を認めており、物品や役務の購入・工事の発注には使えない。理由は、買受希望者を一堂に集めて価格を競り上げさせる仕組みが、売却によって収入を最大化する局面でしか機能しないことにある。調達(買う側)では予定価格という上限を内部で秘匿して最低価格を引き出すのが筋であり、価格を公然と競り上げるせり売りとは方向が逆になる。このため、調達コストの引下げを狙う競り下げ方式(リバースオークション)とは、外見が似ていても適用場面が正反対である。
一般競争入札の原則との関係
地方自治法第234条第2項は、契約は一般競争入札によることを原則とし、指名競争入札・随意契約・せり売りは政令の定める場合に該当するときに限り認めると定める。つまりせり売りは、入札という書面競争の原則に対する例外として位置づけられる。売払いであっても、不動産や高額財産のように慎重な手続を要する場合は一般競争入札で売却するのが通例であり、せり売りが選ばれるのは保管・管理の負担が大きい動産を機動的に換価する場面に偏る。差押物件の公売(国税徴収法上の手続)はせり売りの代表例だが、自治体の物品売払いでは件数が限られ、契約担当者がこの方式を扱う機会は一般競争入札や随意契約に比べてはるかに少ない。
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