ジチテン

設計図書の照査

読み:せっけいずしょのしょうさ

別名:設計図書照査別名:照査
意味

設計図書の照査とは、工事の受注者が施工に着手する前に発注者から交付された設計図書の内容を点検し、誤り・矛盾・現地条件との不一致がないかを確かめて発注者に報告する作業をいう。

受注者は交付された図面・仕様書をそのまま信じて着工してよいのか。公共工事標準請負契約約款は、受注者に対して着工前の一定期間内に設計図書を照査する義務を課し、不備が見つかった場合は書面で発注者へ通知することを求めている。照査の対象は、図面と仕様書の表示が一致しているか、設計図書に誤謬や脱漏がないか、設計図書の表示が明確でない箇所はないか、工事現場の形状・地質・湧水などの状態が設計図書と異なっていないか、設計図書で明示されていない施工条件と実際の現場が一致しているか、といった点である。照査の結果として設計変更工期延長が必要になることが多く、ここで不備を見落とすと施工途中での手戻りや費用負担をめぐる紛争につながる。受注者が照査を怠ったまま施工し損害が生じた場合の負担区分や、照査によって判明した不一致の取扱いは契約上の重要な論点である。発注者側の監督職員にとっても、受注者からの照査結果の通知を受けて速やかに設計図書を訂正し指示を出すことが、その後の施工管理を滞らせない起点となる。

約款上の位置づけと照査の範囲

設計図書の照査は公共工事標準請負契約約款第18条に根拠を持つ。受注者は工事の施工にあたり、図面と仕様書の表示が一致しないこと、設計図書に誤謬・脱漏があること、設計図書の表示が明確でないこと、工事現場の形状・地質・湧水等の状態が設計図書に示された自然的・人為的な施工条件と実際とで一致しないこと、設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと、のいずれかの事実を発見したときは、書面によりその旨を発注者に通知しなければならない。これらの事実が確認された場合、発注者は必要に応じて設計図書を訂正し、または変更する。照査はあくまで設計図書の範囲内での点検であり、受注者に新たな設計をやり直す義務まで負わせるものではない点に注意が必要である。

照査結果がもたらす設計変更・費用負担

照査で発見された不一致は設計変更協議の起点となり、工事内容や数量の変更、工期延長、請負代金額の変更へとつながる。発注関係事務の運用に関する指針でも、設計図書と現場の不一致が判明した場合は速やかに設計変更を行い、それに伴って請負代金額や工期も変更すべきものとされている。照査の範囲を超える詳細な調査や設計までを受注者に負担させることは、受発注者間の責任分担をゆがめるため、照査義務の範囲を契約上明確にしておくことが実務上の争点回避につながる。受注者が照査を行わずに施工して生じた損害は受注者の負担となりうる一方、照査では予見できなかった事象は発注者の負担となるのが原則であり、この線引きが紛争の焦点となる。

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