生活環境影響調査とは、廃棄物処理施設の設置や変更の許可を受けようとする者が、その施設が周辺の生活環境に及ぼす影響について大気質・水質・騒音・振動・悪臭などの項目を事前に調査し、許可申請に添付して提出する手続をいう。
焼却施設や最終処分場を新設しようとする事業者や市町村が、許可申請の前に何を調べて住民に示さなければならないのかを定めるのが生活環境影響調査である。廃棄物の処理及び清掃に関する法律は、一般廃棄物処理施設では第8条第3項、産業廃棄物処理施設では第15条第3項で、設置許可の申請書に施設が周辺の生活環境に及ぼす影響についての調査結果を記載した書類を添付するよう義務づけている。調査の対象となるのは、煙突から排出されるばい煙や粉じんによる大気質、排水による水質、施設の稼働や搬入車両に伴う騒音・振動、悪臭などで、施設の種類と規模に応じて予測と評価を行う。環境影響評価法に基づく環境アセスメントが大規模事業を対象とするのに対し、こちらは廃棄物処理施設に特化し、より簡略な手続であることから現場では「ミニアセス」とも呼ばれる。調査結果書は申請後に告示・縦覧され、関係市町村長の意見や住民の意見書提出の機会を経て、都道府県知事などが許可の可否を判断する材料となる。施設立地をめぐる住民との合意形成の出発点になるため、調査項目の設定と予測の妥当性が後の紛争を左右する。
環境影響評価法のアセスメントとの違い
生活環境影響調査は、環境影響評価法に基づく環境アセスメントとしばしば混同されるが、根拠も対象も手続の重さも異なる。環境影響評価法のアセスメントは、道路・ダム・発電所など規模の大きい特定の事業を対象とし、方法書・準備書・評価書という段階を踏んで多数の環境項目を詳細に予測評価する重い手続である。これに対し生活環境影響調査は廃棄物の処理及び清掃に関する法律を根拠とし、対象は廃棄物処理施設に限られ、調査項目も大気質・水質・騒音・振動・悪臭など生活環境に直結するものに絞られる。ただし一定規模以上の焼却施設や最終処分場は環境影響評価法や都道府県の環境影響評価条例の対象事業にもなり、その場合は両方の手続が並行して求められることがある。どちらの手続が必要かは施設の種類と処理能力で決まるため、計画段階で施設規模を法令の規模要件に照らして確認する必要がある。
申請後の告示・縦覧と住民意見
生活環境影響調査の結果書は、許可申請がなされた後に都道府県知事などが申請書とともに告示し、一定期間縦覧に供する。この縦覧期間中に、施設の設置に関し生活環境の保全上の見地から意見を有する者は意見書を提出することができ、関係市町村長からも意見を聴く仕組みになっている。これらの手続は廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正で導入されたもので、施設の立地が周辺住民の生活環境に直接関わることから、許可の前に情報を公開し意見を反映させる趣旨に基づく。実務では、調査結果書の予測が過小であると住民から指摘されれば信頼を損ない、その後の説明会や公害防止協定の協議が難航する。逆に調査項目の設定段階から住民や市町村と認識を共有しておくことが、合意形成を円滑に進める前提となる。
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