利用権設定とは、農地の所有者と耕作する担い手との間で、農地法の許可を要さず賃借権や使用貸借による権利を設定し、農地の利用を担い手に集約する仕組みをいう。
農地を貸したいが農地法の手続が煩雑だ——その障壁を下げて担い手への集積を進める手段が利用権設定である。通常、農地を貸し借りするには農地法第3条の許可が必要だが、市町村が定める農用地利用集積計画や農地中間管理機構による利用権の設定であれば、農地法の許可を経ずに賃借権・使用貸借による権利を設定でき、貸し手は契約期間が満了すれば確実に農地が返ってくる安心感を得られる。市町村の農業委員会や農林担当課は、出し手と受け手の意向を調整して農用地利用集積計画にまとめ、公告によって利用権を一斉に設定する。受け手は認定農業者や集落営農組織などの担い手が中心で、設定された農地を借りて経営規模を拡大する。利用権設定は人・農地プランや農地中間管理事業と連動して農地集積・集約化を進める基盤の手続であり、担当者は出し手の掘り起こしと受け手とのマッチングを地道に積み上げて地域の農地利用を再編する。
農地法の許可によらない権利設定の仕組み
農地の貸し借りは原則として農地法第3条の許可を要するが、利用権設定は市町村が作成する農用地利用集積計画に基づき、農地法の許可を経ずに賃借権または使用貸借による権利を設定する仕組みである。計画は出し手・受け手の同意のもとに市町村が定め、農業委員会の決定と公告を経て効力を生じ、計画に定めた期間の満了により権利は自動的に消滅して農地は出し手に返還される。これにより、貸せば返ってこないのではないかという出し手の不安を和らげ、農地の貸借を促す。受け手は認定農業者・認定新規就農者・集落営農組織・農地所有適格法人などの担い手が中心で、利用権設定により分散した農地を集約して経営規模を拡大する。
農地中間管理事業・農地集積との関係
利用権設定は、農地中間管理機構(農地バンク)を介して行う方式と、市町村の農用地利用集積計画により当事者間で行う方式がある。農地中間管理機構を介する場合は、機構が出し手から農地を借り受けて受け手にまとめて貸し付けることで、点在する農地を面的に集約する。これらの取組は人・農地プラン(地域計画)で地域の担い手と農地利用の将来像を定めたうえで進められ、担い手への農地集積率の向上が目標とされる。利用権を設定した農地について、受け手は経営所得安定対策や多面的機能支払などの対象面積に算入でき、出し手は機構集積協力金などの支援を受けられる場合がある。担当者は出し手の意向把握、受け手とのマッチング、計画の作成・公告、契約満了時の再設定までを一連の事務として管理する。
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