レスパイトケアとは、在宅で介護や育児を担う家族が一時的に介護・養育から解放され休息をとれるように、本人を施設等で一時的に預かったり代替の支援を提供したりする支援をいう。
在宅介護を続ける家族が体調を崩したり冠婚葬祭で家を空けたりするとき、要介護者の世話を誰が引き受けるのか。この問いに応えるのがレスパイトケアであり、介護者の休息(レスパイト=小休止)を確保して在宅生活の継続を支える考え方である。短期入所(ショートステイ)や通所介護がその代表的な担い手で、本人へのサービス提供と同時に家族の負担軽減を目的に据える点に特徴がある。介護保険・障害福祉・子育て支援のいずれの分野にも横断して現れる概念で、たとえば日中の通所介護は本人の機能維持と家族の日中の休息を同時に果たす。レスパイトが確保できないと介護者が共倒れし、施設入所や介護離職、虐待につながりかねないため、在宅支援を組み立てる際の要点になる。
制度横断の概念であり単独のサービス名ではない
レスパイトケアは特定の給付名ではなく、複数のサービスが担う機能を束ねる概念である。介護保険では短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)や通所介護・通所リハビリテーションが、障害福祉では短期入所や日中一時支援が、子育て分野では一時預かりや子育て短期支援事業(ショートステイ・トワイライトステイ)がレスパイトの役割を担う。医療的ケア児や重症心身障害児の家族にとっては、医療型短期入所の確保が在宅生活を維持できるかの分かれ目になることも多い。窓口で「レスパイト」という語が使われても、本人の状態と利用できる制度に応じて使えるサービスへ橋渡しする必要がある。
介護者支援の視点が制度に組み込まれてきた経緯
従来の福祉サービスは要介護者・障害者など本人への給付を建前としてきたため、家族介護者の休息そのものを正面から目的に掲げる仕組みは限られていた。しかし老老介護や8050問題のように介護者自身が高齢・困窮するケースが増え、介護離職や介護者の孤立が社会問題化するなかで、家族介護者を支援対象として明確に位置づける必要が認識されてきた。地域包括ケアシステムの構築でも、在宅生活の継続には本人へのサービスだけでなく介護者の負担軽減が不可欠とされ、レスパイトの確保は地域包括支援センターや生活支援体制整備事業が向き合う課題となっている。
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