卸売市場法とは、生鮮食料品等の公正な取引と安定的な流通を確保するため、卸売市場の開設・運営の基本ルールを定める法律をいう。
公設の青果・水産市場を運営する自治体が、開設区域や取引の仕組みを検討するときに立ち返る根拠法が卸売市場法である。卸売市場法は生鮮食料品等の流通の要である卸売市場について、中央卸売市場と地方卸売市場の区分、開設者の認可・許可、卸売業者や仲卸業者の業務の基本ルールを定める。かつては開設区域の制限や第三者販売・商物一致など取引規制が細かく法定されていたが、2018年の抜本改正でこれらの規制の多くが緩和され、取引ルールは各市場が業務規程で自ら定める仕組みへ転換した。中央卸売市場の開設はそれまで自治体に限られていたが、改正後は民間も農林水産大臣の認可を受けて開設できることとなり、地方卸売市場は都道府県知事の認可制となった。市場を運営する市区町村は、施設の老朽化・取扱量の減少・場外流通の拡大という環境変化のなかで、市場の再整備や公設民営化、開設区域の見直しを卸売市場法の枠組みのもとで判断する。
市場の区分と開設の認可
卸売市場法は卸売市場を中央卸売市場と地方卸売市場に区分する。中央卸売市場は大都市等の生鮮食料品流通の基幹を担う大規模な市場で、開設には農林水産大臣の認可を要する。地方卸売市場は中央卸売市場以外の一定規模以上の市場で、都道府県知事の認可を受けて開設する。市場では、出荷者から販売の委託を受けて競りや相対で売る卸売業者、卸売業者から買い受けて小売業者等に分荷する仲卸業者、買出人である売買参加者が取引の担い手となる。開設者は市場施設を整備し、取引の秩序を保つための業務規程を定めて運営する。公設市場では市区町村や都道府県が開設者となり、民間事業者に運営を委ねる公設民営の形態をとる例もある。
2018年改正による規制緩和
卸売市場法は2018年に抜本的に改正され、2020年に施行された。それまで法律で一律に課されていた第三者販売の禁止、商物一致の原則、直荷引きの禁止といった取引規制の多くが廃止され、各市場が業務規程で自らの取引ルールを定める仕組みへ転換した。中央卸売市場の開設者は地方公共団体に限られていたが、改正後は民間事業者も大臣認可を受けて開設できるようになり、地方卸売市場の開設は許可制から認可制に改められた。背景には、市場経由率の低下、産地から小売・外食への直接取引の拡大、コールドチェーンの発達による流通の多様化がある。市場を運営する自治体は、規制緩和で広がった裁量のもとで、取扱量の減少と施設更新に対応する市場の再編・効率化を、自らの業務規程の設計で進めることになった。
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