農事組合法人とは、農業協同組合法に基づき農民が共同して農業生産の協業や農機具・施設の共同利用を図るために設立する、農業生産法人の一形態である法人をいう。
集落営農を法人化したい、共同で機械を持ちたいというとき、最初に検討される法人形態が農事組合法人である。農業協同組合法を根拠とし、3人以上の農民が組合員となって設立する。事業内容により、農機具・施設の共同利用や農作業の共同化を行う1号法人と、農業経営そのものを共同で営む2号法人に分かれ、集落営農の受け皿となるのは主に経営を担う2号法人である。組合員は議決権が一人一票で平等であり、株式会社のような出資額に応じた支配が生じにくい点が、合意形成を重んじる集落になじむ。一方で、組合員は原則として農民に限られ、常時従事者の構成にも要件があるため、外部資本の導入や多角化を志向する経営は株式会社(農地所有適格法人の要件を満たすもの)への移行を選ぶこともある。市区町村の農政担当は、集落営農の法人化支援にあたり、この一人一票の協同組織と株式会社のどちらが地域の実情に合うかを助言する立場にある。
1号法人と2号法人の区別
農事組合法人は、行える事業によって大きく二つに分かれる。1号法人は、農機具・農業用施設の共同利用や農作業の共同化など、組合員の農業経営を補完する共同利用事業を行う法人である。2号法人は、農業経営そのものを法人として営み、生産・販売・関連加工までを一体で行う。集落営農を法人化して一つの経営体にまとめる場合に選ばれるのは主に2号法人で、農地の利用権設定や雇用、補助事業の主体に法人の名でなれる利点がある。一つの法人が両方の性格を併せ持つことも認められる。設立には農民3人以上が発起人となり、定款を作成して設立登記を行う手順を踏む。
株式会社との違いと法人化の選択
集落営農の法人化では、農事組合法人と株式会社(農地所有適格法人の要件を満たすもの)のいずれを選ぶかが要点になる。農事組合法人は議決権が出資額に関わらず一人一票で、組合員も原則として農民に限られるため、集落の構成員が対等な立場で参加する協同組織になじむ。一方、株式会社は出資に応じた議決権で意思決定が機動的に行え、農業以外の事業展開や外部からの出資受け入れがしやすい。経営の多角化や規模拡大を志向するほど株式会社が、集落ぐるみの合意を重んじるほど農事組合法人が選ばれる傾向がある。なお農事組合法人から株式会社への組織変更も法律上認められており、法人化の入口を農事組合法人とし、経営の発展段階で株式会社へ移る経路も用いられる。
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