農業経営基盤強化促進法(基盤法)とは、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの経営体へ農地の利用を集積・集約することを目的とする法律である(昭和55年法律第65号)。市区町村が地域計画を定め、担い手への農地利用の集積を進める枠組みを定める。
誰が将来この地域の農地を耕すのかが見えないまま耕作者が高齢化すれば、農地は遊休化し、まとまった経営に貸し出すこともできなくなる。基盤法はこの担い手不足と農地の分散という課題に対し、地域ぐるみで農地の受け手を定めて利用を束ねる仕組みを用意した。市区町村は地域の話し合いをもとに地域計画(目標地図)を作成し、10年後に誰がどの農地を使うかを地図上に描く。
2023年4月施行の改正で、それまでの「人・農地プラン」は法定の地域計画へと格上げされ、農地の貸借は農地中間管理機構を介する方式へ一本化された。従来の農用地利用集積計画による当事者間の利用権設定は廃止され、経過措置を経て機構集積へ移行する。担い手への農地集積、農地中間管理機構、認定農業者といった農政の主要な仕組みは、いずれもこの法律を土台に組み立てられている。
人・農地プランから法定「地域計画」への転換
2023年4月施行の改正基盤法により、それまで予算事業の要綱に基づく任意の取組であった「人・農地プラン」は、法律上の「地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)」として位置づけ直された。市区町村は協議の場を設けて地域の農業者の意向を集約し、おおむね10年後に誰がどの農用地を利用するかを「目標地図」として描いて公表する。目標地図は農地転用や農業振興地域からの除外を判断する際の材料にもなり、単なる将来構想にとどまらず行政手続上の重みを持つ。策定の期限は2025年3月末とされ、全国の市区町村が一斉に作成作業に追われた。
農地の貸借を機構集積へ一本化
改正前は、市区町村が定める農用地利用集積計画に基づく当事者間の利用権設定と、農地中間管理機構を介した貸借という二つの経路が併存していた。改正により前者は廃止され、農地の貸し借りは原則として農地中間管理機構(農地バンク)を通す方式へ一本化された。出し手と受け手の間に機構が入ることで、分散した農地をまとめて担い手へ転貸する集約が進めやすくなる一方、令和7年3月末までの経過措置期間に既存契約の扱いを整理する事務が市区町村と機構に生じた。下限面積要件の廃止と合わせ、農地の出し手・受け手の双方に関わる制度変更が同時期に重なった。
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