農地台帳とは、農業委員会が農地法第五十二条の二に基づき、管内の農地一筆ごとの所在・面積・所有者・利用状況などを記録して整備する台帳をいう。
誰の農地がどこにあり、誰がどう使っているのかを、行政はどこで把握しているのか。農地台帳は、農業委員会が管内の全農地を一筆ごとに記録し、権利移動や転用の許可事務、遊休農地の調査、担い手への農地集積の基礎データとして用いる帳簿である。記載事項は所在・地番・地目・面積・所有者・耕作者・賃借権の有無などに及び、農地法第五十二条の二が整備を義務付ける。農業委員会は毎年の利用状況調査でこの記録を更新し、遊休農地の所有者へ利用意向調査を行う際の名簿ともなる。平成二十七年からは記載事項の一部がインターネットで公表され、農地中間管理機構による集積や企業の参入検討にも使われる。固定資産課税台帳とは目的も所管も別の台帳である点に注意を要する。
農地台帳の整備義務と毎年の利用状況調査
農地台帳は農業委員会の基幹業務であり、農地法第五十二条の二が「農地に関する情報の整備」として一筆ごとの記録の作成と保管を義務付ける。記載は所在・地番・地目・面積に加え、所有者と耕作者、賃借権・使用貸借権の設定状況、農業振興地域内か否かの区分にまで及ぶ。農業委員会は同法第三十条に基づき毎年一回、管内の農地について利用状況調査(農地パトロール)を実施し、耕作放棄の有無を現地で確認して台帳へ反映する。遊休農地と判断した農地については所有者へ利用意向調査を行い、農地中間管理機構への貸付けや自ら耕作する意思を確認する。この一連の調査と台帳更新が、担い手への農地集積や遊休農地の解消といった政策の出発点となる。
農地台帳と他の土地台帳との違い
農地台帳は農地法を根拠とし農業委員会が所管するが、これと混同されやすい台帳に固定資産課税台帳と不動産登記簿がある。固定資産課税台帳は地方税法に基づき市町村の税務担当が課税のために整備するもので、地目や評価額を記録するが耕作者や賃借関係は把握しない。不動産登記簿は法務局が所有権・抵当権などの権利関係を公示するもので、現実の耕作状況は反映されない。農地台帳はこれらと異なり、登記上の所有者だけでなく実際に耕作する者や貸借の実態を捉える点に特徴がある。三者は所管も目的も別であり、農地の権利移動許可や集積の事務では、登記簿で権利を、農地台帳で耕作実態を確認する使い分けが実務上必要となる。
つながりのある用語
関連
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)