妊娠届とは、母子保健法第15条に基づき、妊娠した者が速やかに市町村長に対して行う妊娠の届出である。
妊娠したことを行政が把握し、母子保健サービスにつなげる入口はどこにあるのか。その起点が、母子保健法第15条に基づく妊娠届である。妊娠した者は妊娠したときは速やかに市町村長へ届け出るものとされ、市町村は届出を受けて母子健康手帳を交付する(母子保健法第16条)。届出は通常、子育て世代包括支援センター(こども家庭センター)や保健センター等の窓口で受け付けられる。
妊娠届は単なる事務手続にとどまらず、妊娠期からの切れ目のない支援の出発点として重視されている。届出時には妊娠週数や住所等のほか、妊婦の心身の状況や家庭環境に関する事項を尋ね、保健師等が面談を行って支援の必要性を見立てる。これにより、特定妊婦(出産後の養育について出産前から支援が特に必要と認められる妊婦)の早期把握や、伴走型相談支援への接続が図られる。
実務上は、妊娠届の受理を契機に母子健康手帳・妊婦健康診査の受診票の交付、出産・子育て応援交付金の給付、産前産後のサービス案内などが一連で行われる。窓口での面談は、ハイリスク妊婦や経済的困難を抱える家庭を見逃さないための重要な接点となっている。
母子健康手帳の交付と妊娠期支援の起点
母子保健法第15条は妊娠した者に対し速やかな市町村への妊娠の届出を求め、第16条は届出をした者に市町村が母子健康手帳を交付すると定める。妊娠届はこの一連の流れの起点であり、届出を受けた市町村は母子健康手帳とともに妊婦健康診査の受診票等を交付し、妊娠期から出産・育児期までの記録と公費負担による健診をつなぐ。近年は、妊娠届出時と出産後の面談等を要件に経済的支援(出産・子育て応援交付金)と相談支援を組み合わせた伴走型相談支援が制度化され、妊娠届はその最初の接点として位置づけられている。
面談による特定妊婦・ハイリスク妊婦の把握
妊娠届の受理時には、妊娠週数や分娩予定日のほか、妊婦の年齢・健康状態・家庭環境・経済状況などを把握するためのアンケートや保健師等による面談が行われることが多い。これは、出産後の養育について出産前から支援が特に必要と認められる特定妊婦や、若年・経済的困難・心身の不調を抱えるハイリスクの妊婦を早期に発見し、こども家庭センター(子育て世代包括支援センター)の支援や要保護児童対策地域協議会等につなぐためである。妊娠届出が遅い、あるいは届出がない事例は支援が届きにくいリスク要因とされ、未受診妊婦への対応が母子保健の課題となっている。
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