名寄せとは、複数の台帳やシステムに別々に記録された同一人物・同一世帯の情報を、氏名・生年月日・住所などを手がかりに突き合わせ、同一の対象として結びつける作業をいう。
同じ住民の情報が、住民記録・税・福祉と別々のシステムに散らばっているとき、それらをどう同一人物のものとしてまとめるか。この突き合わせ作業が名寄せである。窓口で世帯の状況を一覧したい、課税対象者を漏れなく把握したいといった場面で不可欠になる一方、突き合わせの鍵となる氏名や住所には表記ゆれや同姓同名があり、誤って別人を結びつける危険が常につきまとう。マイナンバー制度では、各機関が同じ番号で住民を管理すると番号を鍵にした際限ない名寄せ(プロファイリング)が可能になってしまうため、機関ごとに異なる符号を用いて情報連携する設計が採られている。名寄せの精度は情報連携の正確さを直接左右し、住民票コードや統合宛名の仕組みもこの精度を担保するために整えられてきた。
名寄せの鍵と誤突合のリスク
名寄せは、何を突き合わせの鍵にするかで精度が大きく変わる。氏名と生年月日と住所の組み合わせはたいていの台帳に共通して存在するため鍵にしやすいが、同姓同名で生年月日まで一致する別人、結婚や転居による氏名・住所の変更、外字や旧字体による表記ゆれといった要因で、別人を同一人物と誤って結びつける誤突合や、同一人物を別人として取りこぼす突合漏れが生じる。誤突合は他人の所得や受給状況を取り違える重大な事故につながるため、自治体では住民票コードや団体内の統合宛名番号といった一意の識別子を介して突き合わせることで、氏名等の曖昧さに頼らない名寄せを目指してきた。基幹業務システムの標準化でも、宛名情報の持ち方を揃えることが名寄せ精度の前提として重視される。
マイナンバー制度における名寄せの抑制
マイナンバー(個人番号)を全機関で共通の鍵として使えば名寄せは技術的に容易になるが、それは裏返せば、番号一つであらゆる行政分野の個人情報を串刺しにできてしまうことを意味する。この際限ない名寄せ=プロファイリングを防ぐため、番号制度は機関の間で個人番号そのものをやり取りせず、情報提供ネットワークシステムを介し、機関ごとに異なる機関別符号を用いて情報連携する仕組みを採っている。各機関は自前の符号でしか相手の情報を引けないため、仮に一つの機関の情報が漏れても、それを鍵に他分野の情報を芋づる式にたどることが構造的に難しい。名寄せの利便性と、無制限な名寄せの抑止という相反する要請を、符号の分離という設計で両立させている点が制度の肝である。
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