無差別平等の原理とは、生活保護法第2条に定める原理で、すべての国民が生活困窮の事実だけに基づき、本人の性別・社会的身分・困窮に至った原因を問わず平等に保護を受けられるとする原理をいう。
怠惰や浪費で困窮した人にも生活保護を出すのか、という問いに制度が「出す」と答える根拠が無差別平等の原理である。生活保護法第2条は、困窮に至った原因の善悪や本人の属性を問わず、現に最低生活費に満たない困窮状態にあるという事実のみを保護の要件とする。これは旧救護法までの制限扶助主義、すなわち素行不良者などを保護対象から除外する仕組みを否定し、日本国憲法第25条の生存権を無条件に具体化したものである。実務では、扶養義務者からの援助が見込めるか、稼働能力を活用しているかといった補足性の判断は行うが、困窮の原因がギャンブルや借金であること自体を理由に申請を却下することはできない。原因への評価は保護開始後の自立助長・指導指示の局面で扱う問題であって、保護の要否判定とは切り離される点が、窓口対応で最も誤りやすい。
四原理の一つとしての位置づけ
生活保護法は冒頭に四つの原理を置く。すなわち国家責任の原理(第1条)、無差別平等の原理(第2条)、最低生活保障の原理(第3条)、補足性の原理(第4条)である。無差別平等の原理はこのうち保護の「対象」を画定する原理にあたり、誰を保護するかを困窮の事実のみで決める。これに対し補足性の原理は資産・能力・扶養を活用してもなお不足する場合に限るという「順位」を定める原理であり、両者は対象の無制限さと給付の補足性という形で互いを補完する。実務上は無差別平等で門戸を開きつつ、補足性で給付水準を絞るという二段の構えになり、いずれか一方だけを根拠に却下・支給判断をすると誤る。
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