教育大綱とは、地方公共団体の長が地域の実情に応じて定める、教育・学術・文化の振興に関する総合的な施策の根本的な方針である。
教育委員会が独立して教育行政を担う仕組みのもとで、住民から選ばれた首長は教育の方向性にどう関与するのか。その接点として2014年改正の地方教育行政法が新設したのが教育大綱である。首長が総合教育会議で教育委員会と協議・調整したうえで策定し、おおむね首長の任期に合わせて4〜5年を対象期間とする例が多い。記載されるのは目標や施策の根本方針であり、教科書採択や個別の教職員人事といった教育委員会の専権事項には踏み込めない。すでに教育振興基本計画を定めている自治体は、その計画をもって大綱に代えることができるため、計画と大綱の関係を整理して二重作成を避けるのが実務の論点となる。首長が代わると大綱も改定されうる点で、教育委員会が継続的に担う教育振興基本計画とは性格が異なる。
策定の手続と総合教育会議
教育大綱は首長が単独で決めるのではなく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第1条の3に基づき、総合教育会議で教育委員会と協議・調整したうえで首長が策定・公表する。協議は調整であって首長の一存ではなく、教育委員会の職務権限に属する事項について両者の意見が一致しない場合、首長は大綱に記載できるが教育委員会を法的に拘束はしない。緊急時の措置や予算を伴う条件整備など、首長と教育委員会の双方に関わる施策を方針として束ねる場として機能する。策定後は議事録とともに公表され、首長部局の教育総務担当が事務を担うことが多い。
教育振興基本計画との代替関係
教育基本法第17条に基づく教育振興基本計画と教育大綱は内容が重なりやすく、法は計画を大綱とみなす扱いを認めている。すでに地方版の教育振興基本計画を策定済みの自治体は、その計画に大綱に定めるべき事項が含まれていればこれをもって大綱に代えることができ、別個に大綱文書を作らない運用が広がっている。一方で計画は教育委員会が、大綱は首長が主体となるため、代替する場合でも総合教育会議での協議を経る点は変わらない。計画の改定時期と首長の任期がずれることから、両者の整合と更新の段取りを庁内で決めておく必要がある。
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