ジチテン

教育の政治的中立性

読み:きょういくのせいじてきちゅうりつせい

意味

教育の政治的中立性とは、学校教育が特定の政党・政治勢力に偏らず、政治的に公正・中立に行われるべきとする原則をいう。

なぜ教育委員会首長から独立した行政委員会として置かれているのかを問われたとき、その理由の根幹にあるのが教育の政治的中立性である。教育は子どもの人格形成に深く関わり、長期的・継続的に行われるべきものであるため、時々の政治勢力や首長の意向によって左右されてはならないという考え方がとられている。この原則は教育基本法第14条が定める政治教育の規律(良識ある公民として必要な政治的教養は尊重するが、特定政党を支持・反対する政治教育を学校で行ってはならない)に表れ、また教育公務員特例法義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法が、教員の政治的行為を制限する形で支えている。制度面では、合議制で政治的中立性を担保する教育委員会制度や、教育長・教育委員を首長が議会の同意を得て任命する仕組みがこの原則を具体化している。自治体の教育行政にとっては、首長と教育委員会の権限配分や総合教育会議の運営を理解するうえでの前提となる原理である。

法令上の根拠と教員への規律

教育の政治的中立性は、複数の法令によって支えられている。教育基本法第14条は、良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重されなければならないとしつつ、学校は特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならないと定める。公立学校の教員については、教育公務員特例法が政治的行為の制限を国家公務員並みに及ぼし、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法が、教員団体などが特定政党の主義を支持・反対させる教育を教唆・扇動することを禁じている。これらは、教育内容と教員の地位の両面から、学校教育が政治的に偏らないことを担保する仕組みである。

教育委員会制度による制度的担保

教育の政治的中立性は、教育委員会制度という組織のかたちによっても確保されている。地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)は、教育に関する事務を首長から独立した合議制の執行機関である教育委員会に担わせ、複数の委員による合議で意思決定することで、特定の立場に偏らない運営をめざす。教育長・教育委員は首長が議会の同意を得て任命するが、委員の年齢・性別・職業に偏りが生じないよう配慮することや、特定政党に所属する委員が一定数を超えてはならないとされる。一方で、首長が教育行政に関与する場として総合教育会議が設けられ、大綱の策定などにより民意を反映させる仕組みも併存する。教育の政治的中立性は、これら独立性と民意反映のバランスを論じる際の基準となる原理である。

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