客観訴訟とは、自己の権利利益の救済を目的とせず、行政活動の客観的な適法性の確保を目的として提起される訴訟であり、法律に特に定めがある場合に限り提起できる民衆訴訟と機関訴訟をいう。
住民訴訟で公金の違法支出を争うとき、原告は自分が金銭的に損をしたから訴えるわけではない。この種の訴訟がなぜ認められるのかを理解する鍵が客観訴訟である。通常の訴訟が個人の権利利益の侵害を救済する主観訴訟であるのに対し、客観訴訟は行政の適法性そのものを是正する目的を持ち、原告適格の根拠を個人の権利ではなく法律の特別の授権に求める。それゆえ法律上の争訟の例外として位置づけられ、行政事件訴訟法は誰でも提起できるわけではなく法律に定めがある場合に限ると明記する。具体的には、私人が提起する民衆訴訟(住民訴訟・選挙訴訟など)と、行政機関相互の権限争いを争う機関訴訟の二類型がある。
二類型の整理
客観訴訟は提起主体によって民衆訴訟と機関訴訟に二分される。民衆訴訟は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で私人が提起する訴訟で、地方自治法に基づく住民訴訟、公職選挙法に基づく選挙無効・当選無効の訴訟が代表例である。機関訴訟は、行政機関相互の間で権限の存否や行使をめぐって争う訴訟で、地方公共団体の長と議会の紛争や、国地方係争処理委員会の審査を経た国の関与をめぐる訴訟がこれに当たる。いずれも行政事件訴訟法が抗告訴訟・当事者訴訟とは別枠で規定し、出訴できる場合・原告・提起できる事項をすべて個別の法律が限定している点が共通する。
法律上の争訟の例外という位置づけ
裁判所が扱う事件は、本来「当事者間の具体的な権利義務に関する紛争で法律の適用により終局的に解決できるもの」(法律上の争訟)に限られる。客観訴訟はこの枠の外にあり、個人の権利救済ではなく行政の適法性確保を目的とするため、本来であれば裁判所の審判対象とならない。それでも認められるのは、裁判所法が法律上の争訟以外でも「法律において特に定める権限」を裁判所が持つと定め、各個別法がその授権を行っているからである。したがって法律の定めがなければ客観訴訟は提起できず、列挙された場合に限られるという制約は、この例外的性格から導かれる。
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