却下とは、審査請求や訴えが法律上の要件を欠いて不適法であるため、内容の当否を判断せずに門前で退ける裁決・決定・判決である。
不服があると申し立てても、申立期間を過ぎていたり、処分性のないものを争っていたりすれば、そもそも審査の土俵に乗らない。却下は、こうした入口の要件(審査請求期間・処分性・不服申立適格・原告適格・訴えの利益など)を満たさない申立てを、中身に立ち入らずに退ける結論である。中身を審理したうえで「言い分に理由がない」と退ける棄却とは段階が異なり、却下は理由の有無を判断する前の段階で切られる。
実務では「門前払い」と通称され、審査請求人・原告にとっては最も不本意な結末になりやすい。要件の不備が補正できるもの(形式的な記載漏れ等)であれば審査庁・裁判所は補正を求めるが、審査請求期間の徒過のように補正できない瑕疵は却下に直結する。裁決書・判決書では主文に「本件審査請求を却下する」「本件訴えを却下する」と記される。
却下と棄却を分ける「入口」と「中身」
却下と棄却はどちらも申立人が負ける結論だが、敗れる段階が決定的に違う。却下は訴訟要件・不服申立ての要件という「入口」を満たさないことを理由とし、処分が違法か適法かという本案(中身)には一切立ち入らない。これに対し棄却は、入口を通過して中身を審理したうえで「処分は違法でない/請求に理由がない」として退ける。行政事件訴訟法でいえば、却下は訴えの利益・原告適格・出訴期間などの訴訟要件を欠く場合、棄却は本案審理の結果である。この区別は、再び争えるかにも影響する。期間徒過による却下は同じ処分をもう争えないが、要件を整え直せる場合には再度の申立て余地が残ることもある。
行政不服審査法と行政事件訴訟法で共通する結論
却下は不服申立て(審査請求・再審査請求)と行政訴訟(取消訴訟など)の双方で用いられる結論の呼称である。審査請求では審査庁が裁決で却下し、取消訴訟では裁判所が判決で却下する。いずれも不適法な申立てを本案審理に入れず退ける点は共通する。審査請求の場合、審査請求期間(処分を知った日の翌日から原則3か月)の徒過、審査請求適格の欠如、すでに消滅した処分への申立てなどが却下事由となる。訴訟の場合は出訴期間の徒過、原告適格・訴えの利益の欠如、処分性の不存在が典型である。門前で切られないために、申立人はまず自分の申立てが入口の要件を満たすかを確認する必要がある。
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