繰出基準とは、一般会計から公営企業会計や国民健康保険特別会計等へ繰り出す経費のうち、公費(一般会計)が負担すべき範囲を総務省が毎年度の通知で示した基準をいう。
公営企業や国民健康保険の特別会計は独立採算を建前とするが、料金や保険料だけでは賄えない経費が必ず残る。どこまでを一般会計の繰出金で負担してよいのかを、団体ごとの裁量任せにせず全国共通の物差しで示すのが繰出基準である。財政担当者が毎年度の繰出金を算定するときの出発点になる。
正式には総務副大臣通知「地方公営企業繰出金について」等として毎年度示され、下水道の雨水処理費、病院の不採算医療や救急医療、保険の事務費など、性質上料金収入になじまず公費で支えるべき経費を費目ごとに列挙する。この範囲内の繰出しが「基準内繰出(ルール分)」であり、地方財政計画にも所要額が算入され、その一部は地方交付税で財源措置される。
繰出基準を超える繰出しは「基準外繰出」と呼ばれ、本来は事業の料金収入や経営改善で賄うべき赤字を一般会計が肩代わりしている状態を意味する。基準外繰出が恒常化・増大していれば、料金改定の先送りや構造的赤字を疑う手がかりになるため、繰出金の額と内訳を基準内・基準外に切り分けて点検することが経営分析の基本になる。
繰出基準が定める主な公費負担区分
総務省の繰出基準は、繰出しを「収入をもって充てることが適当でない経費」と「能率的な経営を行ってもなお収入のみでは賄えない経費」に大別して費目ごとに示す。下水道事業では雨水公費・汚水私費の原則に基づく雨水処理費、病院事業では救急・小児・周産期などの不採算医療や高度医療、企業債の元利償還金の一部、共済追加費用などが公費負担の対象に挙げられる。国民健康保険・介護保険の特別会計についても、事務費・出産育児一時金・保険基盤安定などの繰出区分が別途示される。これらは「どの経費を税で支えるか」という公私の費用負担の線引きそのものであり、料金算定や使用料改定の議論の前提になる。
基準内・基準外と財政措置の関係
基準内の繰出し(ルール分)は地方財政計画に所要額が織り込まれ、その一部は基準財政需要額に算入されて普通交付税で財源措置される。一方、基準外繰出しは交付税措置の対象外であり、一般会計の一般財源を持ち出して特別会計の赤字を埋めている構図になる。決算統計や経営比較分析表では繰出金を基準内・基準外に区分して把握するため、財政担当者は当該年度の繰出基準と突き合わせて各繰出しがどちらに当たるかを整理しておく必要がある。基準外繰出しの圧縮は、公営企業の料金適正化や経営戦略の策定と一体で論じられる。
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