雇用保険とは、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難になった場合に必要な給付を行い、あわせて再就職の促進や雇用機会の確保のための事業を行う、政府が管掌する社会保険である。
社会保障の5本柱のうち、自治体の窓口で「うちの所管ではない」と案内しがちなのが雇用保険である。実施主体は国(ハローワーク)であり市町村が保険者になる介護保険や国保とは異なるが、生活困窮者自立支援や生活保護の現場では、相談者が失業給付を受けられるかどうかが支援方針を左右するため、制度の輪郭を押さえておく必要がある。雇用保険は、被保険者が失業したときに当面の生活を支える基本手当(いわゆる失業給付)を中心に、教育訓練給付、育児休業給付、介護休業給付、高年齢雇用継続給付などの給付を行う。さらに保険料を財源に、雇用調整助成金などの雇用安定事業や能力開発事業も実施する。保険料は事業主と労働者が分担し、徴収は労災保険とあわせて労働保険として一元的に扱われる。生活保護の申請時には、雇用保険の受給資格があれば他法他施策の活用が優先されるため、受給の有無の確認は実務上欠かせない。
給付の種類と失業給付の位置づけ
雇用保険の給付は、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4種に大別される。中核は求職者給付の基本手当で、一般に失業給付と呼ばれる。被保険者であった期間や離職理由(自己都合か会社都合か)に応じて、所定給付日数や給付制限の有無が定まる。会社都合などの特定受給資格者は給付日数が手厚く、給付制限期間も短い。このほか、再就職を早期に決めた人への就業促進手当、厚生労働大臣指定の講座を受けたときの教育訓練給付、育児休業・介護休業の取得時に賃金の一定割合を補う育児休業給付・介護休業給付などがある。福祉の相談現場では、離職した相談者がまず基本手当の受給資格を満たすかを確認し、満たさない場合に生活困窮者自立支援や求職者支援制度へつなぐ流れになる。
労働保険としての一体運用と他制度との関係
雇用保険と労災保険は、保険料の徴収においては労働保険として一体的に運用され、事業主は両者をまとめて申告・納付する。ただし給付の設計は別で、雇用保険は失業や雇用継続に伴うリスクを、労災保険は業務上・通勤途上の傷病等を対象とする。雇用保険の保険料は事業主と労働者の双方が負担するのに対し、労災保険は全額事業主負担である点も異なる。生活保護では補足性の原理により他法他施策が優先されるため、雇用保険の基本手当を受給できる間は原則としてそちらが優先され、給付額が最低生活費に満たない場合に保護費で差額を補う扱いとなる。失業給付が切れた後に生活が立ち行かなくなって保護申請に至る例も多く、福祉部門が受給期間や残日数を把握しておくことが支援の連続性につながる。
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