公用負担とは、特定の公共の利益となる事業の需要を満たすため、法律に基づき、特定の私人に対して課される財産上または身体上の負担の総称をいう。
道路や河川の整備、災害復旧といった公共事業を進めるとき、行政は必要な土地や労力をどのように調達するのか。公用負担は、こうした公共の需要を満たすために、特定の私人に財産や行為を一方的に負わせる公法上の負担を包括する概念である。負担の対象によって人的公用負担と物的公用負担に大別される。人的公用負担は、特定の者に作為・不作為・給付などの義務を課すもので、負担金や災害時の従事命令などがこれにあたる。物的公用負担は特定の財産に課されるもので、財産権を完全に取り上げる公用収用、所有権は残したまま使用や処分を制限する公用制限、一時的に財産を使用する公用使用に分かれる。いずれも私有財産への侵害を伴うため、法律の根拠を要し、特別の犠牲には損失補償が必要となる点が共通する。
人的公用負担と物的公用負担
公用負担は負担の客体に着目して2つに分類される。人的公用負担は特定の人に作為・不作為・給付の義務を課すもので、受益者に事業費の一部を求める負担金、緊急時に労務や物資の提供を命じる従事命令・徴用などがある。物的公用負担は特定の財産そのものに課される負担で、態様により三段階に分けられる。第一は公用収用で、公共事業の用に供するため私有財産を強制的に取得し所有権を移転させる。第二は公用制限で、所有権は元の権利者に残したまま、その使用・収益・処分に制約を加える(建築制限や立木の伐採制限など)。第三は公用使用で、工事のための一時的な土地の立入りや使用のように、財産を一定期間使用する負担である。
法律の根拠と損失補償
公用負担はいずれも私人の財産権や自由を一方的に制約する侵害行政であるため、法律による行政の原理から個別の法律の根拠を必要とする。土地収用法、河川法、道路法、災害対策基本法など、事業分野ごとの法律が負担を課す要件と手続を定める。また、課された負担が一般的に受忍すべき限度を超えて特定の者に特別の犠牲を強いる場合には、憲法第29条第3項に基づき正当な補償(損失補償)を要する。どの程度の制約が特別の犠牲に当たり補償を要するかは、制約の目的・態様・程度を総合して判断され、財産権に内在する社会的制約にとどまる規制では補償を要しないと解される。公用収用のように財産を全面的に奪う場合は当然に補償の対象となる。
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