ジチテン

国税徴収法

読み:こくぜいちょうしゅうほう

意味

国税徴収法とは、国税の滞納処分による強制徴収の手続を定める法律であり、地方税の滞納処分もこの法律の例によることとされている(昭和34年法律第147号)。

差し押さえるぞ、という通告を裏づける手続は何法に書いてあるのか。地方税の徴収担当が差押えや公売へ進むとき、そのよりどころは地方税法ではなく国税徴収法である。

国税徴収法は、納期限までに納付されない国税について、督促を経たうえで滞納者の財産を差し押さえ、公売などで換価し、滞納税に充当するまでの強制徴収の手続を体系的に定める法律である。重要なのは、地方税法が地方税の滞納処分について国税徴収法の例によると定めている点で、市区町村や都道府県の徴収吏員が裁判所の判決を経ずに自力で差押えへ着手できる根拠は、結局この法律にたどり着く。差押えの対象財産と差押禁止財産の範囲、第二次納税義務換価の猶予滞納処分の停止といった徴収実務の骨格は、いずれも国税徴収法が定め、地方税にも準用される。徴収担当者が滞納整理の局面で財産調査や差押えの可否を判断するとき、根拠条文として参照するのは地方税法の準用規定とその先にある国税徴収法である。

地方税への準用という構造

国税徴収法が地方税の徴収実務を支配する理由は、地方税法が個別の徴収手続を一から定めず、国税徴収法の例によると規定して準用しているためである。地方税法第68条が固定資産税等の滞納処分を国税徴収法に定める滞納処分の例によると定めるなど、税目ごとの規定が国税徴収法へ橋渡しをしている。このため地方税の差押え・換価・配当の手続は、原則として国税の滞納処分と同じ枠組みで進む。徴収吏員が差押調書を作成し、預金や給与・不動産を差し押さえ、公売で換価する一連の流れは国税徴収法の条文に沿う。地方税独自の規定がある事項を除き、徴収担当者は地方税法の準用規定と国税徴収法の本則を往復しながら手続の適法性を確認することになる。

自力執行権と私債権との違い

国税徴収法が定める強制徴収の最大の特徴は、徴収機関が裁判所の判決や執行文を要せずに自ら差押えへ着手できる自力執行権にある。私人間の貸金のような私債権は、回収のためにまず訴訟で債務名義を取り、裁判所の民事執行手続を経なければ強制執行できない。これに対し国税や地方税は、督促状を発した日から一定期間を経過してもなお完納されないとき、徴収機関自身の処分として財産を差し押さえることができる。この自力執行権は、租税が公共サービスの財源として優先的に確保されるべき公債権であることに由来する。一方で滞納者の最低限の生活を守るため、給与や年金の一定額、生活に欠かせない衣服や家具などは差押禁止財産として法律上保護され、徴収機関はこの範囲を誤らないよう財産の選定を慎重に行う。

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)