公印省略とは、軽易な文書を施行する際に、本来押すべき公印の押印を省くことをいう。文書の右下や発信者名の下に「(公印省略)」と表示することで、公印を押したものと同様に取り扱う文書事務上の扱いである。
公印を押すには、公印を管理する部署へ文書を持ち込み、台帳に登録のうえ厳重に保管された印を押すという手間がかかる。住民へのお知らせや会議の案内など、権利義務に直接かかわらない大量の軽易な文書まで一律に公印を求めると、文書事務が滞り公印管理の負担も増す。公印省略は、こうした軽易な文書について押印手続を省き、迅速な発信を可能にする扱いである。
どの文書で公印を省略できるかは各団体の公印規程が定めており、許認可や処分の通知、契約に関する文書など対外的に効力を生じさせる重要文書は省略の対象外とされ、案内・照会・回答など軽易なものに限って認められるのが一般的である。省略する場合は文書に「公印省略」と明記し、受け取った相手が正式な公文書であることを認識できるようにする。
電子決裁や電子的な文書のやり取りが広がるなかで、紙の公印を前提としない発信が増え、公印省略の運用はその過渡的な位置づけも担う。どの文書を公印省略とし、どれを公印押印あるいは電子公印とするかの線引きは、文書規程と照らした実務判断となる。
公印省略が認められる文書の範囲
公印省略は、すべての文書で自由にできるわけではなく、各団体の公印規程が定める軽易な文書に限られる。一般に、許認可・登録・処分の通知、契約書や請求・領収に関する文書、証明書など、対外的に権利義務を確定させたり効力を生じさせたりする文書は公印の押印を要し、省略できない。これに対し、会議の開催案内、調査の照会とその回答、各種のお知らせなど、相手方の権利義務に直接影響しない軽易な文書については「(公印省略)」と表示して発信できる。判断に迷う場合は、その文書が相手方に対して法的な効果を持つかどうかが目安となり、効果を持つものは省略しないのが原則である。
電子決裁・電子公印との関係
紙の公印は、印影を厳重に管理し押印のつど台帳に記録する運用が前提であり、公印省略はその手続を省くことで事務を簡素化する仕組みである。一方、電子決裁の普及に伴い、押印そのものを電子的な手段に置き換える電子公印や、文書管理システム上で発信の事実を記録する運用も広がっている。公印省略は「押さない」扱い、電子公印は「電子的に押す」扱いであり、両者は軽易文書の発信を効率化する点では共通するが、文書の真正性を担保する仕組みが異なる。どの文書をどの扱いとするかは、文書規程と公印規程の双方を踏まえて定められる。
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