公報とは、地方公共団体がその告示・公示その他一般に周知すべき事項を住民へ知らせるために定期に発行する公式の文書をいう。国の官報に相当する自治体の公示媒体であり、条例や規則の公布、告示の掲載によって対外的な効力発生の基礎となる。
条例を公布したり告示を出したりしたとき、その内容を住民が知りうる状態に置く媒体は何かという問いに、自治体の現場は公報で答える。団体は公報の発行を公告式条例(公告式に関する条例)で定め、条例・規則の公布や告示は原則として公報に登載して行うと規定する。県では県報、市では市報や市公報と呼ばれ、発行の方法・周期・登載すべき事項は団体ごとの公告式条例と文書規程に従う。
公報が実務で重い意味を持つのは、登載が公布・告示の効力発生の起点になる点にある。条例は公布されて初めて施行日から効力を生じ、その公布は公報への登載という外形的事実で確定する。掲示場への掲示を併用する団体もあるが、いつ・どの公報に載ったかが、施行期日の到来や争訟期間の起算を画する基礎資料となる。近年は紙の公報に代えて、ホームページ上の電子的な公報(県公報の電子版等)を正式な公布の方法と位置づける団体が増えており、電子官報の制度化と歩調を合わせた運用の見直しが進む。
なお選挙のたびに配布される選挙公報は、選挙管理委員会が候補者の政見等を有権者に知らせる別個の文書であり、ここでいう公報とは制度も目的も異なる。
公報の根拠と公告式条例
公報そのものを直接に義務づける一般法はなく、その発行と登載のルールは各団体の公告式条例(公告式に関する条例)に置かれる。地方自治法は条例の公布手続を長に委ね、公布の具体的方法は条例で定めるものとしているため、団体は公告式条例で「条例・規則の公布及び告示は公報に登載して行う」と規定するのが通例である。登載すべき事項、発行の周期、号数の付け方、発行できない場合の掲示場掲示による代替といった細目も、この条例と文書管理規程が定める。公報は単なる広報紙とは性質が異なり、広報紙が施策を分かりやすく伝える編集物であるのに対し、公報は条例・規則・告示の正文を登載して公布・告示の効力を担保する公式文書である。両者を混同すると、何をもって公布があったといえるかの判断を誤る。
電子公報への移行と効力
紙の公報を印刷・配布する負担を避け、ホームページ上で公報を発行する団体が増えている。電子的な公報を正式な公布方法とするには、公告式条例を改正して「公報の発行は団体のホームページへの掲載により行う」等と定め、掲載日をもって公布があったものとする旨を明確にする必要がある。条例の根拠を欠いたまま運用だけを電子化すると、公布の効力発生時点が不明確になり、施行期日や争訟期間の起算に争いを残す。国でも官報の電子化が法制化され、紙の官報に代えて電子官報を正本とする方向が定まったため、自治体の公報もこれと整合的な制度設計が課題となる。電子公報では、改ざん防止と発行日時の証明をどう確保するかが実務上の論点になる。
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