公害等調整委員会とは、総務省に置かれる行政委員会であり、公害紛争についてのあっせん・調停・仲裁・裁定と、鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務をつかさどる国の機関である。
公害をめぐる損害賠償や原因究明を裁判で争うと、専門的な因果関係の立証に長い年月と多額の費用がかかり、被害者の救済が遅れる。公害等調整委員会は、こうした紛争を訴訟外で迅速・公正に解決する裁定機関として、相当因果関係や賠償責任の有無まで判断できる権限を持つ。都道府県に置かれる公害審査会が地域のあっせん・調停を担うのに対し、公調委は全国を対象とし、複数県にまたがる事件や原因裁定・責任裁定といった専門性の高い事件を扱う。職権で証拠調べや専門委員の調査を行えるため、被害者が自ら因果関係を立証しきれなくても、委員会の調査により事実が解明される点が訴訟と異なる。委員長と六人の委員で構成され、職権行使の独立が保障された合議制機関である。
公害審査会との役割分担(国と都道府県の二層構造)
公害紛争処理は、公害等調整委員会(国)と都道府県公害審査会の二層で担われる。あっせん・調停・仲裁は両者がそれぞれ行うが、被害が複数の都道府県にまたがる事件、大規模で社会的影響の大きい事件、航空機・新幹線騒音など政令で定める重大事件は公調委が扱う。これに対し裁定(原因裁定・責任裁定)は公調委の専属とされ、都道府県の審査会は行えない。裁定とは、紛争の前提となる因果関係(原因裁定)や損害賠償責任の有無・額(責任裁定)について委員会が法律判断を下す準司法的手続であり、ここに公調委が「等調整委員会」という名のとおり単なる調停機関を超えた権限を持つ核心がある。被害者はまず身近な都道府県審査会に申請するか、争点が因果関係にあるなら直接公調委へ裁定を求めるかを選ぶことになる。
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