公害防止計画とは、現に公害が著しい地域又は公害が著しくなるおそれのある地域について、環境基本法に基づき都道府県知事が国の基本方針に即して策定する、公害防止のための施策を総合的に定めた地域計画をいう。
個別の規制法だけでは改善しない、複数の汚染源が集中した工業地帯の環境をどう立て直すか。公害防止計画は、こうした地域を対象に、大気・水質などの規制や公共施設の整備、緩衝緑地の確保といった施策を一体の計画にまとめて推進する仕組みである。もとは公害対策基本法に基づく制度で、現在は環境基本法第十七条以下に根拠を置く。国が定める基本方針を受けて都道府県知事が地域を定めて計画を策定し、国の同意を得る手続が組まれている。計画に盛り込まれた公害防止事業の費用は、原因事業者に負担を求める公害防止事業費事業者負担法と結びつき、財源面でも実効性を支える。四日市など深刻な産業公害地域で広く活用された経緯があり、汚染の改善に伴い指定地域は縮小したが、地域単位で環境施策を束ねる総合計画として制度は維持されている。
個別規制法と地域総合計画の役割分担
大気汚染防止法や水質汚濁防止法は、工場・事業場ごとの排出基準や総量規制により汚染源を直接規制する。しかし汚染源が密集した地域では、個別規制を積み上げても環境基準の達成が難しく、公共下水道や緩衝緑地の整備、土地利用の調整といった面的な施策を組み合わせる必要がある。公害防止計画は、この面的・総合的な対策を地域単位で束ねる役割を担う。国の基本方針に即して都道府県知事が地域の実情に応じた施策を計画化し、関係市町村の事業や個別規制と整合させて推進する。計画に位置付けられた公害防止事業には国庫補助や地方債の特例など財政上の支援措置が講じられることがあり、地域全体での環境改善を財源面からも後押しする。汚染が改善した地域では計画期間満了とともに役割を終える一方、新たな課題が生じた地域では改めて策定されうる、地域の環境状況に応じて運用される計画である。
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