公害防止管理者とは、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に基づき、ばい煙や汚水などを排出する特定工場が選任を義務づけられる、公害防止に関する技術的事項を管理する国家資格者をいう。
一定規模以上のばい煙発生施設や汚水排出施設を持つ工場が、誰に排出基準の遵守や測定の管理を担わせなければならないのかを定めるのが公害防止管理者の制度である。特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法、昭和46年法律第107号)は、大気・水質・騒音・振動・粉じん・ダイオキシン類などについて、政令で定める施設を有する工場を特定工場とし、その事業者に公害防止統括者・公害防止管理者・公害防止主任管理者からなる公害防止組織の整備を義務づけている。このうち公害防止管理者は、ばい煙量の測定や排水の水質測定の管理、施設の維持など公害防止の技術的事項を直接担う中核であり、施設の種類ごとに大気関係・水質関係などの区分が設けられている。資格は国家試験への合格または所定の資格認定講習の修了によって取得され、試験は一般社団法人産業環境管理協会が実施する。事業者が選任を怠ったり基準に違反したりした場合の責任の所在を明確にする仕組みで、自治体の環境部局は届出の受理や立入検査によって選任状況を確認する。
公害防止組織の三つの役割(統括者・管理者・主任管理者)
公害防止組織法が特定工場に整備を求める公害防止組織は、役割の異なる三者で構成される。公害防止統括者は、その工場における公害防止に関する業務を統括管理する者で、原則として工場長などその事業所を実質的に統括する立場の者が就く。公害防止管理者は、ばい煙や汚水の測定の管理や施設の維持といった技術的事項を直接管理する者で、施設の種類に応じた国家資格を有する者でなければならない。公害防止主任管理者は、ばい煙発生施設と汚水等排出施設の両方を持つ大規模な工場で、統括者を補佐し管理者を指揮する者として選任される。事業者はこれらの者を選任したとき、その旨を都道府県知事または政令市の長に届け出る義務を負い、選任しなかった場合には罰則の対象となる。資格の区分は、施設が排出する物質と工場の規模に対応して定められている点に特徴がある。
公害防止協定や条例上の届出との関係
公害防止管理者の選任は法律上の全国一律の義務だが、実際の工場の公害防止は、これに地方公共団体の条例や公害防止協定が重なって運用される。地方公共団体は環境保全条例で独自の排出基準や届出義務を定めており、国の法律より厳しい上乗せ基準を設けている例もある。また工場の立地に際して自治体と事業者が結ぶ公害防止協定では、法令の基準を超える自主的な管理目標や測定結果の報告、立入りの受け入れなどが取り決められることが多い。こうした条例や協定に基づく日常的な測定や報告の実務を社内で担うのが、この資格を持つ公害防止管理者である。自治体の環境部局にとっては、特定工場の公害防止管理者が誰かを把握しておくことが、立入検査や事故時の連絡、改善指導を円滑に進める前提となる。
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