公害防止事業費事業者負担法とは、国又は地方公共団体が実施する公害防止事業について、その公害の発生に寄与した事業者に対し、寄与の程度に応じて事業費の全部又は一部を負担させることを定めた法律をいう。
汚染を引き起こした工場がある一方で、その対策事業を行政が税金で実施するのは公平か。公害防止事業費事業者負担法は、汚染者負担原則を具体化し、公共が行う公害防止事業の費用を原因事業者に負担させる仕組みを定める。対象となるのは、汚染された河川や港湾のしゅんせつ、汚泥処理、緩衝緑地の整備など、特定の事業者の事業活動が公害発生に寄与したと認められる事業である。地方公共団体は事業者ごとの寄与度を算定して負担総額を割り当て、負担計画を定めて費用を徴収する。負担金を滞納した場合は地方税の滞納処分の例により強制徴収できる。原因者が不明・無資力の場合や、寄与度の算定が困難な場合には適用に限界があり、行政が公費で対応せざるをえない場面も残る。
汚染者負担原則を制度化した負担金の仕組み
本法は、経済協力開発機構が提唱した汚染者負担原則を日本の法制度に取り込んだ代表例である。原則そのものは「汚染防止の費用は汚染者が負担すべきだ」という理念にとどまるが、本法はこれを公共の公害防止事業に即して具体的な負担金徴収の手続へ落とし込んだ。負担を命じる前提として、行政は事業者の事業活動と公害の因果関係、及び寄与の程度を認定しなければならず、複数事業者が関与する場合は寄与度に応じて負担額を配分する。負担金は租税ではなく特定の事業に充てる目的を持つため、徴収した費用は当該公害防止事業以外には充てられない。負担計画の策定や寄与度の認定をめぐっては事業者との見解の相違が生じやすく、認定処分に対する不服申立てや訴訟の対象となりうる。自治体の環境部局にとっては、汚染原因者への費用求償を法的根拠をもって行える数少ない手段の一つである。
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