公文書管理条例とは、地方公共団体が作成・取得した公文書の作成から整理、保存、廃棄、歴史的に重要な文書の移管までを一貫して規律するために制定する条例をいう。
意思決定の過程を示す文書がいつ、誰の判断で廃棄されるのか。この規律を行政内部の規程任せにせず、住民への説明責任を果たす制度として議会の議決を経た条例で担保するのが公文書管理条例である。2009年制定の公文書管理法は地方公共団体に直接適用されず、同法は自治体に対し「その趣旨にのっとり、保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と定めるにとどまる。この努力義務を受けて、文書の作成義務、保存期間の設定、保存期間満了後の廃棄手続、歴史公文書の公文書館への移管といった仕組みを条例で明文化する団体が増えている。従来、文書事務の細目は文書管理規程や文書取扱規程で定められてきたが、これらは内部の訓令であり住民を名宛人としない。条例化することで、廃棄の判断に第三者の関与(廃棄協議や有識者の意見聴取)を組み込み、恣意的な文書廃棄を制度として防げる。
公文書管理法との関係
公文書管理法は国の行政機関等を対象とする法律であり、地方公共団体には直接適用されない。同法第34条が地方公共団体に文書の適正管理に関する施策の努力義務を課すにとどまるため、自治体の文書管理は各団体の自律的な定めに委ねられている。従来は文書管理規程・文書取扱規程という内部訓令が中心であったが、これらは行政内部の事務処理ルールであって住民に対する権利義務を生まない。条例化は、文書の作成・保存・廃棄・移管という一連の管理を住民への説明責任の手段として位置づけ直し、議会の関与のもとで担保する点に違いがある。国の制度を範型としつつ、自治体ごとに公文書館の有無や規模に応じた制度設計がなされている。
廃棄と移管の統制
条例の中核は、保存期間が満了した文書の処理を統制する点にある。保存期間を満了した文書は、歴史的・文化的に重要なものを公文書館等へ移管し、それ以外を廃棄するのが基本的な流れである。廃棄を実施する前に、首長部局の判断だけで完結させず、公文書館や有識者から成る附属機関の意見を聴く手続を条例で義務づける例が多い。これは、不都合な記録が密かに廃棄される事態を防ぎ、現在および将来の住民が行政の活動を跡づけて検証できる状態を確保するためである。移管後の文書は特定歴史公文書等として、利用請求に応じた閲覧・複写の対象となる。
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