ジチテン

気候変動適応法

読み:きこうへんどうてきおうほう

別名:適応法
意味

気候変動適応法とは、気候変動の影響による被害の防止・軽減を図るため、国・地方公共団体・事業者・国民の役割を定め、適応に関する計画策定や情報基盤の整備を進める枠組みを定めた法律である。

温室効果ガスの削減(緩和)だけでは避けられない気温上昇や豪雨の激甚化に対し、被害をいかに抑えるかという適応をどう制度に位置づけるかが課題であった。気候変動適応法(2018年法律第50号)は、それまで閣議決定の計画にとどまっていた適応の取組に法的根拠を与えた法律である。政府は気候変動適応計画を定め、国立環境研究所を中心とする情報基盤(気候変動適応情報プラットフォーム)で影響予測や適応策の知見を集約・提供する。都道府県・市町村地域気候変動適応計画の策定に努め、地域気候変動適応センターを確保して地域の実情に応じた適応を進める。2023年の改正では熱中症対策が強化され、熱中症特別警戒情報の発表や、自治体が指定する暑さをしのぐ施設(指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルター)の制度が設けられ、2024年4月に全面施行された。緩和を担う地球温暖化対策推進法と両輪をなし、自治体の環境部門は両法に基づく計画づくりを並行して担う。

緩和と適応を分ける――地球温暖化対策推進法との役割分担

気候変動への対策は、原因となる温室効果ガスの排出を抑える「緩和」と、避けられない影響に備える「適応」に大別される。緩和を主に担うのが地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)で、適応を担うのが気候変動適応法である。気候変動適応法は2018年に成立し、政府に気候変動適応計画の策定を義務づけるとともに、おおむね5年ごとに気候変動影響評価を行ってその結果を計画に反映する仕組みを設けた。都道府県・市町村には地域気候変動適応計画の策定が努力義務とされ、農業・防災・健康など分野横断で地域固有の影響に備える処方箋を示す役割を負う。自治体の環境担当は、温対法に基づく地方公共団体実行計画(緩和)と、気候変動適応法に基づく地域気候変動適応計画(適応)を、内容が重なる部分も多いため一体的に検討することが多い。

2023年改正による熱中症対策の制度化

気候変動適応法の運用で自治体の関与が大きく広がったのが、2023年改正による熱中症対策の強化である。改正法は熱中症対策を任意の取組から法に根拠を持つ仕組みへ引き上げ、2024年4月に全面施行された。柱は二段階の警戒情報で、従来の熱中症警戒アラートに加え、過去に例のない危険な暑さが予測される場合に発表する熱中症特別警戒情報(特別警戒アラート)が制度化された。あわせて市町村長は、特別警戒情報の発表時などに住民が暑さをしのげる場所として、図書館公民館・商業施設などを指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)に指定できることとなった。指定にあたっては開放時間や受け入れ可能人数を定め、住民へ周知する。熱中症による救急搬送や死亡が高齢者を中心に増えるなか、自治体の環境・防災・福祉部門が連携して暑熱から住民を守る体制づくりが課題となっている。

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