起工伺とは、契約担当課が工事・物品・委託等の発注に着手するにあたり、発注理由・契約方法・予定価格の算定根拠・財源等を記載して内部の決裁を受ける起案文書である。この決裁をもって入札公告や見積依頼などの契約手続が開始される。
発注の事務は、いきなり業者へ声をかけるところからは始まらない。なぜその工事や物品が必要か、いくらで、どの契約方法で発注するのかを文書にまとめ、組織として発注の意思を確定させる起案が先に立つ。起工伺は、この最初の意思決定を担う文書であり、ここでの決裁が後続の入札・契約手続すべての出発点になる。
起工伺には、発注の目的と理由、契約の方法(一般競争入札・指名競争入札・随意契約の別)、予定価格とその積算根拠、履行期限、予算科目と財源、随意契約や指名競争を採る場合はその根拠条項を記載する。専決規程に基づき金額に応じた決裁区分(課長専決・部長専決・首長決裁など)が定まっており、決裁権者がここで発注の適否を判断する。
起工伺の決裁が下りて初めて、契約担当課は入札公告の掲示や指名通知、見積依頼に進める。決裁前に業者と接触すれば手続の公正を損なうため、起工伺は発注事務の起点であると同時に、内部統制上の関門でもある。
起工伺に記載する事項と決裁区分
起工伺は発注の意思を組織として確定する起案文書であり、記載事項は契約事務規則・財務規則と各団体の様式で定まる。標準的には、件名と発注の理由、契約の方法(一般競争入札・指名競争入札・随意契約の別と、競争性を制限する場合の根拠条項)、予定価格と積算の根拠、履行期限・履行場所、予算科目・予算残額・財源、入札参加資格や指名業者の選定理由を記す。金額の多寡に応じて専決規程が決裁区分を定めており、少額の物品購入は課長専決、一定額を超える工事は部長・首長の決裁を要するなど段階が設けられる。随意契約による場合は、地方自治法施行令第167条の2第1項各号のいずれに該当するかを起工伺の段階で明示し、随意契約理由書を添付するのが通例である。
起工から契約締結までの位置づけ
起工伺の決裁は契約手続の起点であり、これを欠いたまま業者と接触したり見積を徴したりすると、手続の公正と内部統制を損なう。決裁後は、契約方法に応じて入札公告・指名通知・見積依頼へ進み、開札・落札を経て契約締結に至る。契約締結の段階で改めて契約締結伺により決裁を受ける運用も多く、その場合は発注着手(起工)と契約確定(締結)の二段で決裁を経ることになる。起工伺で確定した予定価格・契約方法と、実際の入札結果・契約内容に齟齬があれば、変更の経緯を文書で残す必要がある。予定価格を起工伺に記載することから、起工伺は開札まで秘密として管理され、漏えいは入札の公正を害する行為として厳しく扱われる。
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