基準及び程度の原則とは、生活保護法第8条に定める原則で、保護は厚生労働大臣が定める基準により測定した要保護者の需要のうち、その者の金銭・物品で満たすことのできない不足分を補う程度で行うとする原則をいう。
保護費はいくら支給されるのか、という問いに具体的な算定式を与えるのが基準及び程度の原則である。生活保護法第8条は、保護の要否と程度を厚生労働大臣が定める保護基準によって測定し、要保護者の需要を金銭・物品では満たせない不足分に限って補うと定める。すなわち最低生活費という基準額から世帯の認定収入を差し引いた差額が支給額となる。基準は世帯の年齢・人員・所在地域の級地などに応じて客観的に定められ、実施機関の裁量で世帯ごとに上下させることはできない。同条第2項は、この基準が要保護者の年齢・世帯構成・所在地域などの事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分で、かつこれを超えないものでなければならないと定め、過不足のない水準であることを要求する。支給額の根拠を法令の基準に求めることで、窓口担当者ごとのばらつきや恣意を防ぐ機能をもつ。
四原則の中での位置づけ
生活保護法は四原理に続けて第7条から第10条に四つの原則を置く。申請保護の原則(第7条)、基準及び程度の原則(第8条)、必要即応の原則(第9条)、世帯単位の原則(第10条)である。このうち基準及び程度の原則は、保護の「程度」すなわち支給水準を決める原則であり、四原理のうち最低生活保障の原理(第3条)を運用レベルで具体化する役割をもつ。理念としての健康で文化的な最低限度の生活を、保護基準という数値に翻訳して要否判定と支給額算定に用いる。基準は厚生労働大臣が告示で定めるため全国統一であり、実施機関が独自の基準を設けたり個別世帯に裁量で増減したりすることは許されない。
不足分主義と収入認定
第8条が定める「程度」は、要保護者の需要全体を満たすのではなく、本人の金銭・物品で満たせない不足分のみを補う点に特徴がある。これを不足分主義と呼ぶ。具体的には、世帯の最低生活費を基準で算定し、そこから就労収入・年金・仕送りなどの認定収入を差し引いた差額が保護費となる。収入認定は補足性の原理(第4条)と連動し、活用すべき資産・能力・他法他施策を踏まえて行われる。同条第2項は基準が需要を満たすに十分でこれを超えないものであることを要求し、過大支給も過小支給も許さない。支給額が法令の基準に拘束されることで、要保護者の権利性が担保されると同時に、実施機関の恣意が排除される。
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