健康増進法とは、国民の健康増進の総合的な推進に関する基本的な事項を定め、国民保健の向上を図ることを目的とする法律(平成14年法律第103号)をいう。
住民の健康づくりや受動喫煙対策を進める根拠はどの法律にあるのか、と問われたときに立ち返る基本法が健康増進法である。栄養改善法を全面改正して2002年に制定され、生活習慣病の予防を国・自治体・住民の共通課題として位置づけた。都道府県には健康増進計画の策定を義務づけ、市区町村には同計画を勘案した計画の策定を努力義務として課す。健康診査の実施指針、栄養指導、特定給食施設への指導、受動喫煙の防止など、保健分野の事業の多くがこの法律を根拠に組み立てられている。2018年改正では受動喫煙対策が大幅に強化され、学校・病院・行政機関は原則敷地内禁煙、飲食店等は原則屋内禁煙となり、施設管理者に標識掲示や喫煙室設置の義務が生じた。自治体の保健センターや健康増進担当課にとって、健診事業から受動喫煙の指導監督までを束ねる土台の法律にあたる。
健康増進計画と栄養施策
健康増進法第8条は、都道府県に住民の健康増進の推進に関する施策の基本計画(都道府県健康増進計画)の策定を義務づけ、市区町村には同計画を勘案して市町村健康増進計画を定める努力義務を課す。これらは国が定める基本方針(健康日本21)を踏まえて策定され、生活習慣病の発症予防と重症化予防、栄養・運動・休養・喫煙・飲酒・歯の健康などの目標値を設定する。栄養施策としては、特定給食施設に対する栄養管理基準の遵守義務と都道府県知事による指導・助言、市区町村による栄養相談・保健指導が定められる。国民健康・栄養調査も本法に基づき毎年実施され、計画の進捗管理や目標設定の基礎データとなる。保健部門の事業計画は、この法定計画の体系のもとに位置づけて組み立てることになる。
受動喫煙防止の規制構造
2018年改正で導入された受動喫煙防止の規定は、施設の類型ごとに規制の強さを段階的に定める。学校・児童福祉施設・病院・行政機関の庁舎などは第一種施設として原則敷地内禁煙とされ、屋外に喫煙場所を設ける場合も区画して設置しなければならない。事務所・工場・飲食店・ホテルなどの第二種施設は原則屋内禁煙とされ、喫煙専用室などを設けた場合に限りその室内での喫煙が認められる。既存の小規模飲食店には経過措置による例外がある。施設管理者には標識の掲示、20歳未満の者の喫煙エリアへの立入禁止などの義務が課され、違反には都道府県知事等による指導・勧告・命令、過料の手続が用意される。自治体の保健所・健康増進担当課は、この規制の指導監督の窓口となる。
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