健康保険法とは、事業所に使用される被用者とその被扶養者を対象に、業務外の傷病・出産・死亡に対し保険給付を行う公的医療保険の根拠法で、被用者保険の中核をなす。
会社や役所に雇われて働く人とその家族の医療は、どの保険が担うのか。健康保険法は、事業所に使用される被用者を対象とする被用者保険の根拠法で、1922年制定の日本で最初の社会保険立法という歴史をもつ。
保険者は、主に中小企業の被用者が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)と、大企業などが設立する健康保険組合に分かれる。保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて算定し、事業主と被保険者が原則折半で負担する点が、事業主負担のない国民健康保険との大きな違いである。
給付は被保険者本人だけでなく、収入が一定額以下の配偶者や子といった被扶養者にも及ぶ。療養の給付のほか、傷病で働けない期間の傷病手当金、出産育児一時金、高額療養費など、所得保障的な現金給付を含むのも被用者保険の特徴である。
市区町村職員が直接運営する制度ではないが、住民が退職・就職で保険を切り替える際の資格得喪、国民健康保険との関係、高額療養費や限度額適用認定証の説明など、窓口で被用者保険の知識を要する場面は多い。
事業主と折半する保険料と標準報酬月額
健康保険の保険料は、被保険者の報酬を区切りのよい等級に当てはめた標準報酬月額に保険料率を掛けて算定し、賞与には標準賞与額を用いる。算定された保険料は事業主と被保険者が原則として折半で負担し、事業主が給与から天引きしてまとめて納める。事業主負担が存在しない国民健康保険と異なり、雇用主が費用の半分を担うことが被用者保険の財政基盤を支える。協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに定められ、健康保険組合は組合ごとに独自の料率を設定できる。標準報酬月額は保険料の基礎であると同時に、傷病手当金や出産手当金など報酬に連動する現金給付の額を決める基準にもなり、被用者保険の給付と負担を貫く中心的な指標となっている。
被扶養者制度と現金給付という被用者保険の特徴
健康保険は被保険者本人だけでなく、その被扶養者にも給付が及ぶ。被扶養者は被保険者に生計を維持される配偶者・子・父母などで、年収などの認定基準を満たせば保険料を別途負担することなく療養の給付を受けられる。家族の人数が増えても被保険者の保険料が変わらない点は、世帯員一人ひとりに均等割がかかる国民健康保険との違いである。給付面では、業務外の傷病で働けず報酬が受けられない期間を支える傷病手当金や、出産前後の休業を支える出産手当金といった現金給付を備える。これらは医療そのものの給付に加えて所得を保障する仕組みで、働く人の生活の安定を医療保険の枠内で図る被用者保険の性格を表している。
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