建築監視員とは、特定行政庁の職員のうちから命じられ、違反建築物に対する施工停止命令などの緊急の監督措置を建築主事に代わって行う権限を持つ者である(建築基準法第9条の2)。
違反建築工事を見つけても、是正命令の正式な手続きを踏んでいる間に工事が進んでしまえば、後から壊させるのは難しくなる。建築監視員は、こうした緊急の場面で違反工事の施工停止を即時に命じるために置かれる職である。通常の是正命令は弁明の機会の付与など手続きを要するが、建築監視員は工事中の違反建築物に対し、その場で施工停止を命じる緊急措置をとれる。建築主事が行う本来の監督権限の一部を、機動的に行使するための補完として設計されている。建築指導課などで違反パトロールや現場対応を担う職員に命じられることが多い。
緊急の施工停止命令という固有の権限
建築監視員の存在意義は、違反建築物の工事を止める局面で時間との勝負になる点にある。違反是正の正式手続きは、相手方への弁明の機会の付与を経て是正命令を発する流れをとるため、その間に工事が完成へ向かって進んでしまう恐れがある。建築監視員は、現に工事中の違反建築物に対し、手続きを簡略化して施工の停止を即時に命じる権限を持ち、違反状態の拡大を現場で食い止める役割を担う。これは本来建築主事が持つ監督権限の一部を、機動性を確保するために特定行政庁の職員へ分担させたものであり、是正命令の体系を補完する位置づけにある。
建築主事・特定行政庁との権限分担
建築監視員は特定行政庁の職員のうちから命じられ、緊急の施工停止という限定された場面で機能する。違反建築物に対する除却・移転・使用禁止などの本格的な是正命令は、依然として特定行政庁が手続きを踏んで発するものであり、建築監視員の権限はあくまで緊急措置に限られる。実務上は建築指導課などの担当職員が建築監視員を兼ね、違反パトロールや通報を受けた現場で初動対応を行い、その後の正式な是正命令につなぐ流れになる。指定確認検査機関には是正命令や施工停止命令の権限がないため、違反建築物への監督は特定行政庁とその職員である建築監視員が一貫して担う点が制度の要である。
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