ジチテン

経営所得安定対策

読み:けいえいしょとくあんていたいさく

別名:ゲタ・ナラシ対策
意味

経営所得安定対策とは、農林水産省が所管し、諸外国との生産条件の格差や農産物価格の変動による収入減少を補填して農業経営の安定を図る、畑作物の直接支払交付金と収入減少影響緩和交付金を中心とする交付金制度である。

麦や大豆をつくる農家が、輸入品との価格差や年ごとの相場の振れにどう備えるかを考えるとき、収入の下支えになるのがこの対策である。中心は二つの交付金からなる。一つは畑作物の直接支払交付金で、麦・大豆・てん菜・でん粉原料用ばれいしょ・そば・なたねを対象に、外国産との生産条件の格差を埋めるため数量と面積に応じて交付するもので、実務では「ゲタ対策」と呼ばれる。もう一つは収入減少影響緩和交付金で、米・麦・大豆等の当年産の販売収入が標準的な収入を下回ったとき、減収額の一部を国と生産者の積立てから補填するもので、実務では「ナラシ対策」と呼ばれる。いずれも認定農業者認定新規就農者集落営農を交付対象とし、対象品目の作付けや生産数量目標への取組を要件とする。市町村地域農業再生協議会が、加入申請の受付・対象作物や面積の現地確認・交付金の交付事務を担い、農家にとっては身近な相談・申請窓口となる。

ゲタ対策とナラシ対策の役割分担

経営所得安定対策の中核は、性格の異なる二つの交付金が役割を分担する点にある。畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)は、麦・大豆・てん菜・でん粉原料用ばれいしょ・そば・なたねといった、諸外国との生産条件の格差が大きい畑作物を対象とし、販売価格では生産費を賄えない構造的な不利を、数量と面積に応じた交付で恒常的に埋める。これに対し収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)は、米・麦・大豆等を対象に、当年産の販売収入が過去の平均をもとにした標準的収入を下回った場合に、その差額の一定割合を国の拠出と生産者の積立てから補填する、収入変動への保険的な仕組みである。前者が水準の底上げ、後者が変動の緩和という違いがあり、対象品目が重なる麦・大豆等では両者が組み合わさって経営を支える。

申請窓口と他の収入安定策との関係

交付対象は認定農業者・認定新規就農者・集落営農に限られ、加入には対象作物の作付けや生産数量目標に沿った取組が要件となる。申請の受付や対象面積の現地確認、交付金の交付といった実務は、市町村と農業者・農業団体などで構成する地域農業再生協議会が担い、農家にとっての窓口となる。収入の下支えという目的では農業共済収入保険と重なる面があるが、収入減少影響緩和交付金は対象品目と算定方法が定められた品目横断的な仕組みである一方、収入保険は青色申告を要件に農業経営全体の収入を対象とするなど建付けが異なり、同一の収入減少に対していずれを使うかは制度上の調整がある。自治体の農政担当にとっては、地域の作付け実態に応じてどの支援が農家に適するかを助言し、再生協議会の事務を支えることが日常の業務となる。

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