ジチテン

稼ぐ力

読み:かせぐちから

意味

稼ぐ力とは、地域や産業が外貨を獲得し付加価値を生み出す力を指す、地方創生・産業振興の政策概念である。

地域に交付金や補助金を投じても、生み出した収益が地域外へ流出し続ければ、地域の経済は痩せていく。稼ぐ力は、この問題意識から、地域や個々の産業がどれだけ域外から収入を得て付加価値を地域に残せるかを問う考え方である。地方創生の議論で、移住者数やイベント来場者数といった目に見える数字より、地域経済が自力で循環する構造を重視する文脈で用いられる。具体的には、産業の付加価値額、域外への移出と域内への移入の差、観光消費が地域に落ちる割合などで把握され、地域経済分析システムなどで可視化される。地域経済牽引事業の制度設計でも、企業の立地数より「中身(稼ぐ力と波及効果)」を問う方向へ転換した、という形で参照される。自治体にとっては、施策の成果を雇用や事業所の数だけでなく、地域に残る付加価値で測り直す視点を与える概念である。

地域経済分析による把握

稼ぐ力は、それ自体が一つの制度ではなく、産業振興施策の目標を方向づける政策概念である。把握には、産業ごとの付加価値額、域際収支(移出から移入を引いた差)、雇用や所得が地域内をどれだけ循環しているか、といった指標が使われる。経済産業省内閣官房が提供する地域経済分析システム(RESAS)は、こうしたデータを専門知識がなくても可視化でき、産業の稼ぐ力や人口流動、観光客の滞在動向を近隣自治体と比較できる。自治体は、補助金で立地件数を競う発想から、どの産業が域外から収益を呼び込み雇用と付加価値を生んでいるかを見極め、伸びる産業に資源を集中する発想へと、稼ぐ力を物差しに転換することが期待される。

地域経済牽引事業と観光への適用

稼ぐ力は、個別の施策設計にも組み込まれている。地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業は、地域の特性を生かして高い付加価値を生み、関連事業者へ経済的な波及を及ぼす事業を支援するもので、企業の立地数より事業の中身(稼ぐ力と波及効果)を問う設計に転換した点が特徴である。観光分野でも、自然・文化・歴史・産業といった地域資源を稼ぐ力に変える発想が用いられ、誘客だけでなく観光消費を地域内に落とす受入環境の整備が重視される。地域商社が、生産者に代わって商品の発掘から営業・販売・ブランド化までを担い、地域の事業者の稼ぐ力を底上げするのも同じ流れにある。いずれも、外から収益を得て付加価値を地域に残す構造をどう作るかという問いに収れんする。

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