監督・検査とは、地方公共団体が締結した契約の適正な履行を確保するため、地方自治法第234条の2に基づき、職員に契約の履行過程または給付の完了を確認させる行為をいう。
発注した工事や物品・役務が契約どおりに履行されているかを、発注者はどの段階で誰がどう確かめるのか。地方自治法第234条の2第1項は、普通地方公共団体が工事・製造その他についての請負契約や物件の買入れその他の契約を締結した場合、契約の適正な履行を確保するため、または給付の完了の確認をするため、自ら監督・検査をするか職員に監督・検査をさせなければならないと定める。監督は契約の履行過程に立ち会い、設計図書や仕様に沿って作業が進んでいるかを確かめる行為であり、検査は給付の完了時または既済部分について契約の内容どおりに履行されたかを確認し合否を判定する行為である。地方自治法施行令第167条の15は、監督・検査の方法や、契約担当者以外の者にこれを行わせる場合の手続を定め、職務の分離によって履行確認の客観性を担保する。この監督・検査を経て初めて代金の支払が可能となるため、給付の完了確認は公金支出の前提条件として位置付けられる。工事における監督員・監督職員、検査における検査員・検査職員は、いずれもこの規定に根拠を持つ。
監督と検査の役割分担と職務の分離
監督・検査は一語で扱われることが多いが、地方自治法第234条の2は監督と検査を別個の行為として規定している。監督は契約の履行の途中に行われ、設計図書や仕様書に基づく施工・製造が適正に進んでいるかを継続的に確認し、必要に応じて受注者へ指示・承諾・協議を行う。これに対し検査は、給付の完了時または既済部分の代金支払前に行われ、契約の内容どおりに履行されたか否かを確認して合否を判定する一回的な確認行為である。両者は確認の時点と性質が異なるため、地方自治法施行令第167条の15第4項は、検査を行う職員は原則として契約事務を担当する職員以外の者とするよう求め、発注・契約に関わった者が自ら成果を検査する利益相反を避けて履行確認の客観性を確保する。工事では監督員(監督職員)と検査職員が別に置かれるのはこのためである。
代金支払の前提としての位置付け
監督・検査が公金支出の手続上で持つ意味は、給付の完了確認を経なければ代金を支払えない点にある。地方自治法第232条の4は、普通地方公共団体の支出について、当該支出負担行為が法令または予算に違反していないこと、および債務が確定していることを確認したうえでなければ支出命令を発し得ないとする趣旨を含み、契約に係る債務の確定は検査による給付の完了確認をもって行われる。すなわち、検査調書や検査復命書によって履行が確認されて初めて契約金額の支払債務が確定し、支出命令・支出の段階へ進む。前金払や部分払のように完了前に支払う制度も、保証や既済部分の検査を前提とする点で監督・検査の枠組みの中にある。検査を省略したり形式的に済ませたりすれば、未完成・契約不適合の給付に対して公金を支出する不適正支出となるため、監督・検査は契約事務における財務上の重要な統制点である。
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